2019年7月30日火曜日

SNSの国内ユーザ

主要SNSの国内ユーザ数の最新データが流れていた。前年データよりも特徴がぼやけてきたが,LINE,Facebook,YouTubeの平均年齢は,43〜44歳であり,Twitter,Instagramの平均年齢は,39歳である。前者は40〜50代に利用者のピークがあり,Instagramは30〜40代,Twitterは20代で最も若年層にシフトしている。60代利用者が最も少ないのもTwitterである。

なお,グローバル(日本国内)の利用者数は次のようになっている。Facebook 23.7億(2,800万),YouTube 19億(6,200万),Instagram 10億(3,300万),Twitter 3.3億(4,500万),LINE 1.6億(8,000万)である。


2019年7月29日月曜日

きしみ

日本経済新聞 7月29日朝刊で報じられた日経・テレビ東京による7/26-28世論調査の結果。安倍内閣支持率52%(18-39歳 58%,40-59歳 56%,60歳以上47%)。改憲国民投票賛成52%(18-39歳64%,40-59歳58%,60歳以上43%)。このまま推移すれば,憲法改正に至るのは時間の問題かもしれない。

大阪での維新の躍進は,反動的な動きだと思っていたが,大阪はこれまでも政治的には日本の先端を走っていた。中選挙区制時代の自民党の凋落や,公明党・共産党の拡大など,他の地域に先駆けていたように思う。今の動きは,大都市圏と地方の違いが顕著に現れているようだが,日本社会の閉塞感と変化への切望が,維新という形で吹き出している面もあるのだろう。

猛暑がはじまりそうな朝のベランダから,緑の水田を見下ろしていたら,蟬の鳴き声とともに,日本のきしみが響いてくるような気がした。このきしみをなんとかしたいという社会の気分が,後先を考えずに改憲という道へと走らせてしまいそうな予感がする。

複雑化・肥大化した社会システムの持つ慣性と既得権をそのままにして(受益主体は変わるかもしれないが),社会の変革を進めようとすることが,社会の高度情報化(ネットワーク→AI)と絡み合ってグロテスクな様相を呈している。20世紀のソ連などによる社会主義と計画経済は失敗に終わったが,21世紀のIT技術に根ざした資本主義の上に新しい計画経済が構築されようとしている。PDCAとエビデンスの悪夢が世界を覆っている。

2019年7月28日日曜日

Nagi MOCA

特定のアーティストの建築と一体化した作品がそこへいかなければ見ることができない,というタイプの現代美術の美術館の先駆けが,岡山県奈義町の奈義町現代美術館 Nagi MOCA(1994-)である。という説明を,今,NHKのEテレの日曜美術館でやっている。小野竹喬のふるさとの岡山県笠岡市から始まる旅がテーマなのか。Nagi MOCAは,その後登場した,地中美術館(2004-),金沢21世紀美術館(2004-)の先駆けだということ。Nagi Museum of Contemporary Artの頭文字が,Nagi MOCAなのか。荒川修作+マドリン・ギンズ,岡崎和郎,宮脇愛子の4人の,建物を含む作品で構成されている。

写真 NagiMOCAのFacebookページより引用


2019年7月27日土曜日

安富歩さん

たぶん,2011年の東日本大震災の福島第一原子力発電所の事故がきっかけである。これを巡ってウェブで戦わされた議論の中に,2012年当時のヒゲ面の安富歩さんが語っているものがあった。共鳴した自分はさっそく「原発危機と東大話法−傍観者の論理・欺瞞の言語−(明石書店)」を買った。今日までページを開かずに大切に保存していた。

その後,山本太郎のれいわ新選組から第25回参議院議員選挙の比例区候補として立候補し,馬をつれて演説を重ねた。その一部をYouTubeで耳にしたが,彼の文章と同様に,たいへんわかりやすく納得できるものであった。

Wikipediaによれば,安富歩さんは,京大の経済出身だが,住友銀行をやめて大学院に入り,今は東京大学の東洋文化研究所の教授である。研究分野は非常に多様性に飛んでいて,複雑性にからむ経済物理学の論文(貨幣の生成と消滅について等)も数編ある。10年近く,非線形科学の研究をしていたのことだ。

[1]安富歩:純セレブスピーカーから見える新しい経済世界〜イノベーションとマネジメント〜(2019年4月,浩志会4月度定例講演録)
[2]安富歩:堺市役所前の演説(2019年7月19日,バイオリン:田崎健,キーボード:片岡祐介)

原発危機と「東大話法」:安富歩 に続く)

2019年7月26日金曜日

判別式

多項式の判別式は,3次式以上でも定義できるということを知った。$n$次多項式 $=0$となる代数方程式を,$\displaystyle \sum_{i=0}^n a_i x^i = 0 $とし, その解を$\alpha_i$ ($i=1,2, ... ,n$)とする。
このとき,判別式は,$\displaystyle \Delta = a_n^{2n-2} \prod_{i<j} (\alpha_i - \alpha_j)$となる。根と係数の関係によって,判別式は$a_i$ ($i=1,2, ... ,n$)によって表すことができ,代数方程式の解のふるまいがわかる。

[1]判別式(Wikipedia)
[2]3次方程式の判別式(tsujimotterのノートブック)
[3]4次及び5次方程式の判別式(サイエンスとサピエンス)
[4]判別式(吉田正章)

2019年7月25日木曜日

参院選(2019)の結果

開票直後の新聞やテレビでは,自民公明の与党が勝利と大々的に報じていたような気がしたが,落ち着いてみるともう少しややこしくなっていた。

・投票率はかなり下がった(特に若年層)。これは政権・マスコミの狙いどおり。
・自民党は議席数をかなり減らしたが,公明党は低投票率に救われ議席数を増やした。
・若年層を中心として支持の高い維新の会やN国党が議席をかなり伸ばした。N国党はYouTubeで資金調達し,選挙区の供託金の300万円を出資金として立候補者をつのり,政党助成金で還元するというビジネスモデルをつくってしまった。政党要件の2%は確保できるというシミュレーションにもとづいている。彼らは政策(NHK放送のスクランブル化のみ)ではなく,単純な利殖の手段として国会を利用している。背後関係はあるかないか不明だが,維新と同様の新自由主義的なヘイト政党であって親安倍であることは違いない。
・今回,立憲の数が増えたのは,国民民主党との再編過程のボーナスにすぎない。
・社民共産の支持者高齢化が進行し,得票率が顕著に下がった。その分をれいわ新選組がカバーした。3党(共社れ)の比例区得票率合計は,15.39%→15.59%である。立憲が食われたという見方が正しいかどうかは疑問。なお,3党(自公維)の比例区得票率合計は,58.63%→58.22%だ。

投票率 54.7%→48.8%
議席数 総数 242→245 
     2/3  162→164   比例政党得票率
    自民 124→113  自民 35.91→35.37 △
    公明   25→  28  公明 13.52→13.05 △
    維新   13→  16  維新   9.20→  9.80 ○
    N国  0→ 1  N国     0→  1.97 ○
    国民   23→  21  国民  (20.98)→  6.95 −
    立憲   24→  32  立憲  (20.98)→15.81 −
    社民  2→ 2  社民   2.74→  2.09 ×
    共産   14→  13  共産 10.74→  8.95 ×
    れいわ 1→ 2  れいわ(1.91)→  4.55 ○
    無所属  12→  17
    欠員  4→ 0
    - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
    改憲派 162+α → 158/179+β

当初の予定通りに国民民主党を改憲グループに含めれば,179+βで改憲可能になった。
比例得票率でいうと,改憲派(自民+公明+維新+N国+国民)が67.14%で反改憲派(立憲+社民+共産+れいわ)が31.40%である。結局,この参議院選挙が分岐点になったということかもしれない。国民民主党内がどの程度まとまるか,造反が出るかにもよるが,ベネッセと吉本興業(+テレビ・新聞・広告)を押さえた安倍政権は強い。もし,上記の改憲派を背景に安倍がゴーサインを出すことができれば,どんどん改憲キャンペーンのCMを打って,大阪の維新のような様相が全国的に展開されるのは火をみるより明らか。

安倍自身は,背景組織などを踏まえた改憲狙いかもしれないが,別に,極右に義理立てする必要のない新自由主義派のとりまきは,消費税増税+インボイス導入(これ自身は合理的政策だと思う)による不満や反政権の動きを打ち消すための手段として考えているのでは。もちろん,憲法9条,24条の改悪は,それぞれ関連業界の利益(防衛産業はトランプにむしられているか?)と,家族の扶養義務強調=社会保障政策の超軽量化による財政負担の軽減というメリットがあるわけで。

2019年7月24日水曜日

仮名手本忠臣蔵(五・六・七段目)

夏休み文楽特別公演の四日目の火曜日,平日の国立文楽劇場は初めてだったかな。お客さんの年齢層は高いがほぼ満員御礼状態。冷房が効きすぎていたのか休憩時間には男子トイレまで行列が絶えることがなかった。

演目の第二部は仮名手本忠臣蔵の五段目,六段目,七段目である。立川志の輔の中村仲蔵の落語でこの五段目に開眼し,前回(平成24年11月)の通し狂言も見ているので,ストーリーはある程度押さえているはずだけれど,まだおぼつかない。祇園一力茶屋のおかるは吉田蓑助になっていたが,二階の場面に少し出たあとは吉田一輔に交代したようだ。人間国宝になったばかりの豊竹咲太夫も,前回は一力茶屋の段の由良之助だったのが,今回は軽い身売りの段を勤めていた。まだ体調が十分ではないのかもしれない。早野勘平腹切りの段は,豊竹呂勢太夫。

一力茶屋の段の掛け合いの構成や最後の場面での斧九太夫の扱いなどを覚えていなかったので,新鮮だった。おかるの手鏡は丸いのかと思っていたら,四角いものであったし,おかるが由良之助の促されて二階からはしごを降りるところなども面白かった。最近は記憶が衰えてきたので,何度も新鮮な気持ちで見ることができる。いいのか悪いのか。

3列33番は,床の直下である。若手をはじめなかなかの迫力で聞き応えがあった。小住太夫も咲寿太夫もよかった。靖太夫は有望なのだけれど,最初の平板な入りをもう少し何とかしてほしいかも。藤太夫が見台と床本なしで,下手で鷺坂伴内を語っていた。こんな演出だったのか。

鷺坂伴内といえば,10年近く前の文楽入門講座か何かで,竹本相子太夫が鷺坂伴内の役を使って説明してくれたのが印象深かった。その当時はまだ,仮名手本忠臣蔵の面白い役回りだと認識していなかったころだ。2013年に相子太夫は文楽座を退座してしまった。残念だった。久しぶりだったので,人形遣いの若手で初めて見るような顔がいくつかあった。太夫の若手もはやく育ってほしい。

2019年7月23日火曜日

ベネッセと吉本興業

単純化された物語:安倍政権は教育を梃子とした日本の改造を目指してきた。それが新自由主義的な動きと連動して様々な問題を噴出させている。ベネッセは幼児から大学入試までの知育をカバーし,吉本興業はお笑いによる差別的な構造の再生産を通じて徳育をカバーする。その背景には,日本会議的な反左翼や反人権のトーンで染められたタペストリーがあり,官僚崩れのフィクサーが蠢いて行政や政治を結ぶ網目を張り巡らしている。新しい教育基本法の下で飼いならされた若者たちはこの網目に搦め捕られていく・・・

大阪都構想・憲法改正のための強力な宣伝エンジンとしての吉本興業,そして,その報酬としての沖縄開発利権とIT教育システム利権。松本人志に象徴されるいじめの構造を内在化したグロテスクなヘイトチームが,大阪から日本を覆い尽して行く。安倍が吉本の舞台に立ち,吉本芸人が首相を訪問するのは,すべてこのための地均しだった。


2019年7月22日月曜日

喜光寺(菅原寺)

奈良にある法相宗の別格本山喜光寺は,721年に行基が創建したという説がある。菅原の里につくられたので,当初は菅原寺と名付けられていたが,748年に行幸された聖武天皇によって喜光寺という名前が賜られた。左下の写真のように菅原寺という名札も懸かっている。右下の写真の建物は,行基が東大寺大仏殿を建立する際に十分の一の雛形として建てたとの伝承から「試みの大仏殿」とよばれていると受付の方が説明してくれた。十分の一は長さなのか面積なのか体積なのかよくわからなかった。

写真:喜光寺の本堂1(2019.7.18撮影)

本堂の中には阿弥陀如来,観自在菩薩,勢至菩薩の三尊が治められている。もうすぐ修理に入るらしい。奈良大学に預けられている四天王が里帰りしていた。9月2日まで特別公開されているらしい。奥のお写経道場ではいろは写経ができる。境内では鉢植えの蓮の花がちょうど見頃になっていた。

写真:喜光寺の本堂2(2019.7.18撮影)


2019年7月21日日曜日

菅原神社

奈良の喜光寺は,菅原道真(845-903)の生誕地(異説も多い)である菅原の里にあったためかつて菅原寺とよばれていた。喜光寺のそばには菅原神社(菅原天満宮)と菅原道真が産湯を使ったといわれる天神池の遺跡があった。「すがはら」なのか「すがわら」なのかどうなのだろう

写真 菅原天満宮あたり(2019.7.18撮影)

2019年7月20日土曜日

アポロ11号

1969年の7月20日の20:17(UTC)にアポロ11号の月着陸船が人類初の月面着陸に成功した。日本時間では7月21日の5:17(JST=UTC+9)になるのだけど,高校1年の自分はこれをテレビの実況中継で見ていたのだろうか?あまりはっきり記憶にないし,それほど感動しなかったような気もする。当時は早川書房のSFマガジンの定期購読者であり,月をテーマとした短編の特集がその前後1〜2年にあったのははっきり憶えている。いずれにせよ,1年後の1970年の夏休みには大阪万博のアメリカ館で,そのアポロ11号が持ち帰った月の石を見ることになるのだった。ソ連館に比べるとその曇りの日夕方の行列の待ち時間はたいしたことはなく,月の石の感動もそれほどのものではなかった。

宇宙開発のこれまでの歴史で最も感動したのは,1970年2月11日の13:25に内之浦から打ち上げられた日本初の人工衛星おおすみの方である。建国記念の日は1966年に制定されており,当日は祝日だったはずなので,家でテレビの中継にかじりついていた。夕方のニュースなどを繰り返して見続けた。各国独自のロケットによる打ち上げでは,ソ連1957,アメリカ1958,フランス1965,につづいて4番目,その後すぐに中国1970,イギリス1971が続いた。1966年から始まった東大宇宙航空研究所のラムダ4Sシリーズで,4回も失敗を重ねて新聞を賑わしていたので,やっと達成できたという喜びが大きかった。

次に感動したのは,1972年3月2日にケープカナベラルから打ち上げられた惑星探査機パイオニア10号である。3月3日から5日までが,国立大学一期校の大学入試であり,前日に金沢から大阪に向った雷鳥の中で新聞記事を見てすごいと思った。それ以前にもこのニュースは伝わっていたが,いよいよ現実のものとなったのかと感慨深かった。そのときに金属銘板に刻まれた図を以下に引用した。果たして,人類の存在に気付く地球外知性体は存在するのかというテーマであり,地球と人類の自己紹介を刻んだものであった。

図 探査機に取り付けられた金属板(Wikipediaより)

2019年7月19日金曜日

ソーシャルメディア利用ガイドライン(3)

ソーシャルメディア利用ガイドライン(2)からの続き)

googleで検索したものからは,短大や高専や専門学校や大学の学部単位のソーシャルメディアガイドラインを省いてきた。ここで,日本大学法学部のソーシャル・メディアポリシーをみてみよう。これは,公式ソーシャルメディアの運用ガイドライン,教職員のソーシャルメデイア利用のガイドライン,学生・大学院生のソーシャルメディア利用のガイドラインの3つから成り立っている。よくできている。さらによいのが表現の自由の項がトップに来ていることである。下記の例は教職員のガイドラインであるが,学生のガイドラインにも同様の項がある。大学のソーシャルメディアガイドラインはこうでなくてはね。他の大学では,足利大学のソーシャルメディアガイドラインも表現の自由が最初にきている。
表現の自由
 日本大学法学部は,ソーシャルメディアにおける教職員の職務上及び私生活における表現の自由を尊重します。ただし,社会におけるさまざまな法令,ルール,マナーを遵守し,公序良俗に反しないことが大前提です。
昔の(今でもか)中学校や高等学校の生徒手帳に書かれている校則のように考え,授業中のソーシャルメディアへの発信を厳に慎めというようなばかげたソーシャルメディアガイドラインを作っている大学は,これを参考にしてはどうだろう。

大阪府立大学の例では,ソーシャルメデイア活用ガイドラインとして,個人使用編と団体活用編に分けて,pdfリーフレットを作っており,具体的な注意事例の説明やトラブル時の相談窓口を案内している。学生の安全を守りながら活用を進めるという方向性に好感が持てる。大阪市立大学の学生案内の中では,通信販売やインターネットオークションやネットワービス等のトラブルを含めて注意喚起しており参考にできる。リーフレット形式のものとしては,立命館大学の「SNS利用にあたって知ってもらいたい5つのこと」も学生の視点に立ちよくできている。


日本の大学のソーシャルメディアガイドライン(その3)
(google順2019.7 ソーシャルメディア ガイドライン +site:ac.jp

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大阪大谷大学:ソーシャルメデイアガイドライン
https://www.osaka-ohtani.ac.jp/socialmedia/

久留米大学:ソーシャルメディア公式アカウント一覧(ポリシー)
https://www.kurume-u.ac.jp/soshiki/3/socialmedia.html

国際教養大学:ソーシャルメディアポリシー(ポリシー)
https://web.aiu.ac.jp/about/sns_policy/

松山大学:ソーシャルメディア利用ガイドライン
https://www.u-tokai.ac.jp/enrolled/sns/

国際基督教大学:ソーシャルメディア公式アカウント(ポリシー)
https://www.icu.ac.jp/about/public/sns/

梅花女子大学:ソーシャルメディア利用のためのガイドライン(学生向け)
https://www.baika.ac.jp/assets/pdf/aboutus/approach/socialmedia_guidelines.pdf

× 大阪大学:ソーシャルメディア私的利用ガイドライン
http://daleda.law.osaka-u.ac.jp/~lecture2018/SNS-G.pdf

愛知工業大学:ソーシャルメディアガイドライン(学生向け)
https://www.ait.ac.jp/guide/responsibility/social-media/

芝浦工業大学:ソーシャルメディアポリシー(ポリシー)
https://www.shibaura-it.ac.jp/educational_foundation/compliance/social_media_policy/index.html

静岡大学:ソーシャルメディアポリシー(ポリシー)
https://www.shizuoka.ac.jp/outline/vision/social/index.html

足利大学:ソーシャルメディアガイドライン(表現の自由がトップ)
http://www.ashitech.ac.jp/campuslife/guidelineFiles/socialMediaGuideline.pdf

甲南女子大学:ソーシャルメディアガイドライン(ガイドライン+ポリシー)
https://www.konan-wu.ac.jp/social/guideline.php

中村学園大学:ソーシャル・メディアガイドライン
http://www.nakamura-u.ac.jp/outline/pr/socialmedia.html

西南学院大学:ソーシャル・メディア・ガイドライン
http://www.seinan-gu.ac.jp/about/activity/sns_guideline.html

甲南大学:ソーシャルメディア公式アカウント一覧(ポリシー+ガイドライン)
https://www.konan-u.ac.jp/life/sns/

立命館大学:SNS利用にあたって知ってもらいたい5つのこと(学生向け)
http://www.ritsumei.ac.jp/rs/sns/

東北福祉大学:ホームページ及ソーシャルメディアの利用に関するガイドライン(学生向け)
https://www.tfu.ac.jp/students/arpn890000001r7l-att/arpn890000004pjc.pdf

独協医科大学:ソーシャルメディア利用に関するガイドライン
http://www.dokkyomed.ac.jp/assets/files/dmu/news/3429-003.pdf

福島大学:ソーシャルメディアポリシー(ガイドライン)
https://www.fukushima-u.ac.jp/university/efforts/social.html

西九州大学:ソーシャルメディア利用ガイドライン
https://www.nisikyu-u.ac.jp/information/detail/i/719/faculty/101/

一橋大学:ソーシャルメディアポリシー(ポリシー)
https://www.hit-u.ac.jp/SNS/s_policy.html

大阪学院大学:ソーシャルメディア公式アカウントコミュニティガイドライン(ポリシー)
https://www.osaka-gu.ac.jp/guideline/index.html

沖縄大学:ソーシャルメディアポリシー
http://www.okinawa-u.ac.jp/campuslife/u-life/sns-policy

沖縄キリスト教学院大学:ソーシャルメディア利用ガイドライン
https://www.ocjc.ac.jp/gakuin/kouhou/facebook_guideline/

東北福祉大学:ホームページ及びソーシャルメディアガイドライン
https://www.tfu.ac.jp/students/hp_guideline.html

常磐大学:ソーシャルメディアポリシー
https://www.tokiwa.ac.jp/snspolicy/

広島女学院大学:SNS公式アカウント運用に関するガイドライン(ポリシー)
https://www.hju.ac.jp/info/inc/pdf/officialsns_guideline.pdf

九州大学:ソーシャル・メディア公式アカウント一覧(ポリシー)
https://www.kyushu-u.ac.jp/ja/university/publicity/social

帝京科学大学:ソーシャルメディア・ポリシー
https://www.ntu.ac.jp/docs/sns_policy.pdf

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2019年7月18日木曜日

ソーシャルメディア利用ガイドライン(2)


ソーシャルメディア利用ガイドライン(1)からの続き)

大阪大学ソーシャルメディア私的利用ガイドライン」の謎が少しとけた。法学部の田中規久雄先生の平成30年度「法の世界(火曜5限)」全学部対象のページからリンクされた資料のようだ。2018.7.27に「本部から,SNSの利用に関する注意事項を学生さんに広報するよう依頼がありました。見といてください 」とあるので,阪大の学内でサーキュレートされている公式文書のようだ。

しかし,阪大のキャンパスネットワークの利用に関してはサイバーメディアセンターネットワーク利用者ガイドラインが基本になるはずである。そこには,ソーシャルメディアの私的利用ガイドラインをカバーする事項はほとんど網羅されている。一方,私的利用ガイドラインは,サイバーメディアセンターからも大学のトップページの「在学生の方」からもリンクされていない。なんなのでしょうね。

SNSについての注意喚起や啓発が目的ならば,大阪府立大学のようなリーフレットにしたほうが良かったかもしれない。ネットワーク利用者ガイドラインとの最も大きな違いは,大阪大学ソーシャルメディア私的利用ガイドラインにある次の項目とトラブル対応や調査協力に関する項目だけである。
(8)授業時間中や勤務時間中の情報発信 授業時間中や勤務時間中に私的にソーシャルメディアへ情報発信すること、及び授業時間外や勤務時間外であっても、修学上や業務上支給されている端末を用いて私的にソーシャルメディアへ情報発信することは厳に行わないでください。
十日遅れの七夕のお願い:「これが他の大学へと拡散しませんように・・・」



日本の大学のソーシャルメディアガイドライン(その2)
(google順2019.7 ソーシャルメディア ガイドライン +site:ac.jp)
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静岡県公立大学:ソーシャルメディアガイドライン(教職員向け)
https://www.u-shizuoka-ken.ac.jp/guide/public-relations/sns/guideline/

昭和女子大学:ソーシャルメディア活用に関するガイドライン(学生向け)
https://univ.swu.ac.jp/student/service/sns/

大阪府立大学:ソーシャルメディアガイドライン(学生向けリーフレット形式)
https://www.osakafu-u.ac.jp/info/publicity/sns_guideline/

神戸学院大学:ソーシャルメディアポリシー(ポリシー+ガイドライン)
https://www.kobegakuin.ac.jp/socialmedia_policy/

桃山学院大学:ソーシャルメディア・ガイドライン(学生向け)
https://www.andrew.ac.jp/students/guideline_sns.html

名古屋経済大学:ソーシャルメディア利用のためのガイドライン
https://www.nagoya-ku.ac.jp/support/sns/sns_mobile_guideline.html

群馬大学:ソーシャルメディア利用に係るガイドライン(ガイドライン+ポリシー)
http://www.gunma-u.ac.jp/outline/out009/snsguideline

大阪電気通信大学:ソーシャルメディアガイドライン
https://www.osakac.ac.jp/campuslife/guide/social-guideline/

京都ノートルダム女子大学:ソーシャルメディア利用ガイドライン
https://www.notredame.ac.jp/social_media.html

大阪経済大学:ソーシャルメディアポリシー(ポリシー)
https://www.osaka-ue.ac.jp/information/socialmediapolicy/

九州栄養福祉大学:ソーシャルメディア・ガイドライン
https://www.knwu.ac.jp/socialmedia/

順天堂大学:ソーシャルメディアポリシー(ポリシー+ガイドライン)
https://www.juntendo.ac.jp/corp/news/sns_policy.html

共立女子大学:ソーシャルメディア利用ガイドライン
https://www.kyoritsu-wu.ac.jp/univ/policy/socialmedia_guideline/

関西福祉科学大学:ソーシャルメディアポリシー(ポリシー)
https://www.fuksi-kagk-u.ac.jp/utility/socialmediapolicy.html

東京家政大学:ソーシャルメディアガイドライン(ポリシー)
https://www.tokyo-kasei.ac.jp/about/disclosure/info_system/sns_guideline.html

福岡女子大学:ソーシャルメデイアポリシー(簡潔なポリシー)
http://www.fwu.ac.jp/media_policy/

明治国際医療大学:SNSガイドライン(学生向け)
https://www.meiji-u.ac.jp/sns/

創価大学:ソーシャルメディアポリシー(ポリシー+ガイドライン)

京都文教大学:ソーシャルメディアポリシー(ポリシー)

横浜市立大学:ソーシャルメディアポリシー(ポリシー)

花園大学:ソーシャルメディアガイドライン

津田塾大学:ソーシャルメディア利用ガイドライン

横浜美術大学:ソーシャルメディア利用ガイドライン

岩手大学:ソーシャルメディア公式アカウント(ポリシー+ガイドライン)

東京工業大学:ソーシャルメディア公式アカウント運用ポリシー(ポリシー)

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2019年7月17日水曜日

ソーシャルメディア利用ガイドライン(1)

 キクマコでおなじみの阪大が,ソーシャルメディアの私的利用ガイドラインを出したとの噂が伝わってきた。菊池誠さんはこれを無視するとしている。そこで,他大学も含めて調べてみると次の3パターンに分類できる。

(1) ソーシャルメディアポリシー:組織の公式SNSの紹介とそれらの運用方針
(2) ソーシャルメディアガイドライン(教職員):教職員向けのSNSガイドライン
(3) ソーシャルメディアガイドライン(学生):学生向けのSNSガイドライン

各大学では,これらをひっくるめて,ポリシーやガイドラインなどとよんでいるので,以下のURLリストでは,()内にどのパターンかを示した。断り書きがないものは,大学の構成員全体に対するガイドラインもしくは,教職員ガイドライン+学生ガイドラインの両方が含まれているものである。

いずれも,法令遵守(特に著作権),守秘義務,プライバシー保護,人権尊重,倫理と態度,大学の名誉保護などの一般的な事項が並んでいる。が,注目したいのは,×印で示した,島根大学,岡山大学,大阪大学である。授業時間中や勤務時間中の私的利用を厳に謹めということが書かれている。時間順序からは,岡山大学が震源地のようだが,さらに調査が必要である。国立大学を中心にこれが広がりそうなのでこわい。

ところで,大阪大学のソーシャルメディア私的利用ガイドラインのURLをみてほしい。法学部の怪しいURL(daleda.law.osaka-u.ac.jp/~lecture2018/SNS-G.pdf)が発信元になっている。日付や連絡先も記載されていない不完全な公文書?であり,これが阪大公式の文書かどうなのかは判別できない。daleda.law.osaka-u.ac.jp/~lecture2018/ は,「のぞき見禁止」となっていて,法学部の授業の教材の一部である可能性も否定できない。阪大のトップページやサイバーメディアセンターからのリンクは存在していない。


日本の大学のソーシャルメディアガイドライン(その1)
(google順2019.7 ソーシャルメディア ガイドライン +site:ac.jp)
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中央大学:ソーシャル・メディア・ポリシー(ポリシー+ガイドライン)
https://www.chuo-u.ac.jp/aboutus/communication/social_media/

× 島根大学:ソーシャルメディアガイドライン(2017.9.7)
https://www.shimane-u.ac.jp/introduction/information_solution/social_media_guideline/

神奈川大学:ソーシャルメディア利用のためのガイドライン
https://www.kanagawa-u.ac.jp/sns/guideline/

東京大学:ソーシャルメディアポリシー(広報室のポリシー)
https://www.u-tokyo.ac.jp/ja/general/sns_policy.html

東京経済大学:ソーシャルメディア利用ガイドライン
https://www.tku.ac.jp/SNS-guideline/

学習院女子大学:ソーシャルメディアガイドライン
https://www.gwc.gakushuin.ac.jp/campus_life/social_media.html

日本赤十字看護大学:ソーシャルメディアガイドライン
https://www.redcross.ac.jp/campus/guideline/social_media

文化学園大学:ソーシャルメディアガイドライン(学生向け)
https://bwu.bunka.ac.jp/campus-life/sns.php

神戸親和女子大学:ソーシャルメディアガイドライン(学生向け)
https://www.kobe-shinwa.ac.jp/campuslife/social/

名古屋工業大学:ソーシャルメディアポリシー(ポリシー+ガイドライン)
https://www.nitech.ac.jp/intro/mediapolicy/index.html

駒沢大学:ソーシャルメディアガイドライン(学生向け・教職員向け)
https://www.komazawa-u.ac.jp/campuslife/student-life-support/socialmedia-g.html
https://www.komazawa-u.ac.jp/about/compliance/socialmedia-k.html

東洋大学:ソーシャルメディアポリシー
https://www.toyo.ac.jp/ja-JP/about/effort-activity/policy/

大阪国際大学:ソーシャルメディアポリシー
https://www.oiu.ac.jp/socialpolicy/

関西医科大学:ソーシャルメディア利用ガイドライン
http://www.kmu.ac.jp/snsguideline/index.html

聖心女子大学:ソーシャルメディア扱いのガイドライン(学生向け)
https://www.u-sacred-heart.ac.jp/life/files/socialmedia.pdf

× 岡山大学:ソーシャルメディアガイドライン(2014.6.18)

東京情報大学:ソーシャルメディア・ガイドライン
http://www.tuis.ac.jp/university/privacy-policy/5_53378cec855dd/

熊本大学:ソーシャル・メディア・ガイドライン
https://www.kumamoto-u.ac.jp/daigakujouhou/katudou/guideline

亜細亜大学:ソーシャルメディアポリシー(ポリシー+ガイドライン)
https://www.asia-u.ac.jp/information/socialmedia/

広島国際大学:ソーシャルメディアポリシー(ポリシー+ガイドライン)
http://www.hirokoku-u.ac.jp/student/support/socialmedia_guideline.html

東海大学:学生を対象としたソーシャルメディア活用ガイドライン(学生向け)
https://www.u-tokai.ac.jp/enrolled/sns/

明治大学:ソーシャルメディアガイドライン
https://www.meiji.ac.jp/koho/social_media/guideline.html

浜松医科大学:ソーシャルメディア・ガイドライン(ポリシー+ガイドライン)

日本大学:ソーシャルメディアポリシー(ポリシー+ガイドライン)
https://www.nihon-u.ac.jp/about_nu/effort/socialmedia_policy/

広島大学:ソーシャルメディアガイドライン
https://www.hiroshima-u.ac.jp/koho_press/sns/smguide

摂南大学:ソーシャルメディアポリシー(ポリシー+ガイドライン内部)
https://www.setsunan.ac.jp/social/

東北大学:ソーシャルメディアポリシー(ポリシー+ガイドライン内部限定)
https://www.tohoku.ac.jp/japanese/site/socialmedia/01/socialmedia0101/

神戸松蔭女子学院大学:ソーシャルメディアポリシー(ポリシー+ガイドライン)
https://www.shoin.ac.jp/guide/publicity/sns/policy.html

慶応義塾大学:ソーシャルメディアの利用に関するガイドライン
https://www.itc.keio.ac.jp/ja/itc_socialmedia_guideline.html

滋賀県立大学:ソーシャルメディアポリシー(ポリシー+職員のガイドライン)
http://www.usp.ac.jp/campus/publicity/socialmediapolicy/

和洋女子大学:ソーシャルメディアポリシー(ポリシー)
https://www.wayo.ac.jp/social_policy/tabid/695/Default.aspx

東京理科大学:ソーシャルメディアポリシー(ポリシー)
https://www.tus.ac.jp/info/socialmedia/

富山大学:ソーシャルメディアポリシー(ポリシー+ガイドライン)
https://www.u-toyama.ac.jp/about/socialmedia_policy.html

国士舘大学:ソーシャルメディア・ガイドライン
https://www.kokushikan.ac.jp/socialmedia/

聖マリアンナ医科大学:ソーシャルメディアガイドライン
https://www.marianna-u.ac.jp/houjin/disclosure/socialmedia.html

大阪工業大学:ソーシャルメディアポリシー(ポリシー)
https://www.oit.ac.jp/japanese/contents/sns.html

仏教大学:ソーシャルメディアの利用に関するガイドライン
http://www.bukkyo-u.ac.jp/social.html

北里大学:一般教育部SNSガイドライン
https://www.kitasato-u.ac.jp/clas/snsguideline/

京都産業大学:ソーシャルメディア運用ガイドライン(ポリシー)
https://www.kyoto-su.ac.jp/outline/approach/sns/

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× 大阪大学:ソーシャルメディア私的利用ガイドライン(2018 公式版なのか?)
http://daleda.law.osaka-u.ac.jp/~lecture2018/SNS-G.pdf


ソーシャルメディア利用ガイドライン(2)に続く)

2019年7月16日火曜日

トリニティ実験

74年前の今日,1945年7月16日に,アメリカのニューメキシコ州アラモゴードで人類初の核実験(トリニティ実験)が行われた。マンハッタン計画の最終段階である。長崎に投下されたファットマンと同じプルトニウムタイプのTNT火薬20kt相当の原子爆弾である。

これにまつわる様々な逸話がある。
ロバート・オッペンハイマーが,ヒンドゥー教の聖典バガヴァッド・ギータの一節「我は死なり,世界の破壊者なり」を思い浮かべた。
エンリコ・フェルミが,実験場で落とした紙片が爆発の衝撃波によって動いた距離からそのエネルギーを概算(フェルミ推定)した。
リチャード・ファインマンは,支給された遮光グラスを使わず,トラックの風防ごしに爆発を観察した。

2019年7月15日月曜日

分断と中庸

7月14日の東京新聞の参議院選に関する記事「選挙ツイート受信に偏り 無党派ユーザー「1党だけ」63%」は,2017年の衆議院議員選挙に対する豊橋技術科学大の吉田光男助教(計算社会科学)と東京大の鳥海不二夫准教授(同)の研究を紹介している。衆議院選挙前後の1ヶ月くらいの政党の発信を受け取ったユーザ1600万人のうち,政党の公式アカウントを直接フォローしたりリツイートするユーザ(政党支持層)以外の受信者1300万人を無党派的なユーザとして分析した。このうち6割が1党だけからしか情報を受け取っておらず,分断(エコーチェンバー現象)が進んでいるとしたものだ。

佐々木俊尚がこれを受けて,解説している。ネット上ではエコーチェンバーによって左右の過激な極論が拡大しており,中庸な意見をすくい上げる必要がある,というものだ。佐々木自身が左派に暴力的なものいいはやめたほうがよいといったところ,トーンポリシング(抗議内容ではなく態度を問題にして批判をそらす行為)だという返信が殺到したとのこと。図星をさされたので,東京新聞で反論している。佐々木も主戦場のミキ・デザキにもう一度学んでほしいところである。

大学時代に読んだ岩波新書の「現代の神話(B.ダンハム)」では,第五章の「どんな問題にも二つの面があるものだということ」,が一番印象に残った。大学に入学したのは1972年で,キャンパスには70年安保前夜の大学闘争の余熱が少しだけ残っていたが,いずれにせよ我々は遅れてきたのであった。それでも,キャンパスの中で生ずる様々な問題に対して,意思決定を迫られる場面はあり,どのような態度をとり行動をするかを迷い続けることになる。そんな中で読んだアメリカの進歩的哲学者ダンハムの新書本は非常に読みやすく納得しやすかった。もちろん,ドイツ・イデオロギーや経済学・哲学草稿や弁証法的唯物論入門(モーリス・コーンフォース…)などの友人との勉強会もあったのだが,素人にはちょっとハードルが高すぎた。

ダンハムは,次のように書いた。
最後に,重大問題に関しては,中立ということは1つの幻想にすぎない,ということをのべておかなければならない。一たび実際に問題に関して二つの立場ができてしまえば,なにをやろうと,やるまいと,どちらかの側を助けることになる。かような時代になっても民主主義を助けようとしなかったはみかみ屋の紳士たちは,ファシズムを助けたものとみなさなければならない。こういう紳士たちの「科学的」な無為こそは,ヒットラーが一番あてにしたものの一つであって,それで相当な成功をおさめたのである。
(「現代の神話」−正しいものの考え方− (上)岩波新書168aより引用) 

いまでは,ネット上で活躍し,社会的な発言をする科学者たちのある部分(主に反ニセ科学派から構成される)は,「科学的」で中立な立場などとっておらず,強者の論理が貫徹する「科学」の立場に立って堂々と自説を展開し,弱者たちの「非科学的」な言説を,「科学的でない」ことに加えて「倫理」や「人権」の名目でもって退治しようとしている。もちろんかつても政府や企業の立場に立つ御用学者はたくさんいたが,インターネットの言説空間は新しい種類の集団を生み出した。これをエア御用と名付けたのは秀逸だったと思うが,かえって問題がややこしくなるだけだったかもしれない。

さて,佐々木俊尚は水平社宣言をどう評価するのだろうか。中庸性からの逸脱の先駆者であり,実際に様々な副作用を発生したではないかとして,真っ先に否定すべき対象だと認識するのかもしれない。

2019年7月14日日曜日

キャリア・パスポート

読売新聞が報道した内容。「文部科学省は,小中高校生が学習や学校生活の,目標を設定し,達成度を自己評価する教材「キャリア・パスポート」を2020年4月から全国の小中高校で導入する方針を決めました。自己肯定感,学習意欲の向上を目指します。」

文部科学省に設置された調査研究協力者会議(初等中等教育)のひとつに,2018年の8月にスタートした,「キャリア・パスポート」導入に向けた調査研究協力者会議がある。2019年の1月に第3回の会議を開催したところまで公表されているので,その後の進展があったのかどうか。

よくわからなかったのは,高大接続にかかわる,Japan-e-portfolio(またベネッセか・・・orz)との関係。あるいは,学習ポートフォリオ一般との関係。サンプルをみたけれど,なんだか面倒くさいことになってきた。確かに学習指導要領に書いていることを現実化するとこうなるのだろうけれど。

twitterの部分空間では批判の嵐だったが,文科省のページをみると,なんというか無駄な面倒くさいことに貴重な国の教育政策のエネルギーを使ってしまっているなあという感想しかない。

2019年7月13日土曜日

韓国と日本

A谷君から電話あり。韓国の件どう思う,ひどくないかと。いや,世間はみな韓国を批判しているけど,自分は文在寅支持だと答える。自分の周りの友達もみな韓国が悪いと思っているようだ。いや,日本人の大半がそうなのだろう。安倍政権は参議院選挙のために反韓国を持ち出した。前回の2016年参議院選挙では反北朝鮮だった。慰安婦問題徴用工問題貿易管理問題と続く一連の流れで,NHKのニュースや民放のニュースバラエティを見続ければ,必然的に日本人の大半の意見が形成されるのだと思う。これが,日本の強みとしての高度素材産業の優位性を失う階段を降りるきっかけになりそうだ。

P. S. 7/25/2019「対韓輸出規制」,電子機器メーカーの怒りの矛先は日本に向く?
https://eetimes.jp/ee/articles/1907/10/news027.html

2019年7月12日金曜日

Society 5.0

文部科学省の最近のペーパーはみな,Society 5.0というキーワードからはじまっている。なんだか気持ちが悪い。官僚があるキーワードを取り上げると,その傘下の利害団体は一斉にそのキーワードを使った申請書を大量生産し,そのキーワードがバズりだすことになる。そういう自分もさんざんそのような仕事をしてきた。Web2.0というタームを使って科研費を獲得し,チーム学校という言葉を駆使して大学設置審向けの書類を積み上げた。なんとも悲しくてむなしい話である。なので,人のことはいえない。

さて,日本政府のSociety 5.0は,狩猟採取社会を1.0,農耕牧畜社会を2.0,産業工業社会を3.0,情報化社会を4.0としての5.0である。当初は超スマート社会としていたが,Society 5.0と呼び習わすのが普通になってきた。第4次産業革命とも書いてある。第1次は蒸気機関+鉄道,第2次は内燃機関+車・航空機,第3次は半導体+コンピュータ・インターネット,そして第4次はAI・IoT+バイオ・ナノテクノロジーらしい。

経済産業省的な背景のもとに内閣府が作り出したと思われる。第五期科学技術基本計画(2016-2020)では,超スマート社会(Society 5.0)とある。また,総合科学技術・イノベーション会議が策定した統合イノベーション戦略2019では,Society 5.0が前面にでてきている。日本政府の政策ビジョンであるが,Wikipediaでは,日本語以外ではロシア語版のみ存在しており,英語版はない。一方,第4次産業革命ということばは,2016年のダボス会議から使われており,国際的にはこちらが通用している。Society 5.0 は日本ローカルなコンセプトであるが,産業革命というよりその結果として生ずる社会のほうに焦点を当てたということはそれなりに意味があるのかもしれない。

テイヤール・ド・シャルダンならば,叡智圏(ノウアスフィア)の段階にSociety2.0以降は含まれてしまう。アルビン・トフラーならば,第一の波:農業革命,第二の波:産業革命に対して,第三の波:情報革命(=脱産業社会)の第三波に包括されているものだ。ただ,それがこうして精密に分析されて行くのは現実に世界の相転移が見えはじめているからかもしれない。もう少し考えてみる。

2019年7月11日木曜日

新しい時代の初等中等教育の在り方について

教育再生実行会議に仕事を奪われて,中央教育審議会がお休みなのかと勘違いしていたが,やはり利権に直接からみにくい話題の方は,従来のように中教審で議論されていた。うかつなことに見落としていたのが,今年の4月17日に文部科学大臣が諮問した「新しい時代の初等中等教育の在り方について」だ。初等中等教育分科会のもとに,新しい時代の初等中等教育の在り方特別部会が設置され,6月27日から議論がスタートしている。いつものメンバーであるが,兵庫教育大の加治佐学長,プロップステーションの竹中ナミさん,東北大の堀田さんが入っている。臨時委員には京都教育大学の浜田麻里さん(日本語教育)やキャリアリンクの若江眞紀さんの名前もみられる。新しい時代の高等学校教育の在り方だけは,ワーキンググループが設けられている。

諮問理由は,「今後の社会状況の変化を見据え,初等中等教育の現状及び課題を踏まえ,これからの初等中等教育の在り方について総合的に検討」ということだ。社会状況の変化とは,いわゆる経産省的Society 5.0と,人口減少があげられている。初等中等教育の現状と課題とは,読解力+汎用基礎力的な内容と特別な配慮が必要な子どもの増加と教員の働き方改革×教員採用倍率の低下のことらしい。

そこで,次の4項目が取り上げられ,まず1と4から始め,その後2,3へと進むようだ。
1 新時代に対応した義務教育の在り方について
2 新時代に対応した高等学校教育の在り方について
3 増加する外国人児童生徒等への教育の在り方について
4 これからの時代に応じた教師の在り方や教育環境の整備等について

答えはある程度書いてあって,1は小学校教科担任制の導入と習熟別指導の導入,障害をもった子どもとギフティッドなどの個別対応の推進,2は普通科の解体とSTEAM教育の推進(でもこれは別のところで議論する),3は外国人児童生徒の就学支援と日本語・日本文化教育,4は教員の多様化を目指す免許制度改革,うーん,学校のブラック労働環境をなんとかして教員志望者を増やそうというような話は完全に後方に退いてしまっていた。

結局,すけてみえるのは多様性を旗印にしながら,階層社会化をさらに進めるということのようだ。