2024年12月12日木曜日

なぜ選挙?

1000人の人格再現からの続き

AIによる人格再現の可能性は,様々な派生的妄想を育む偉大な孵卵器である。

その一つとして選挙の問題が思い浮かんだ。間接民主主義における権力行使の委託について,現在の情報テクノロジーを使うと様々な新しい機構に関するシミュレーションが可能になるのだけれど,これは話が大きすぎるので,もう少し勉強してから考えることにする。生成AIは制限が厳しいため,選挙制度に関するデリケートな質問は拒否される場合が多い。

その過程で,「選挙」それ自身を客観的にとらえてみようとあれこれ考えてみた。議員の選挙というのは,国会や地方議会の構成員を被選挙権者の集団から選出するものである。この選挙を例えば抽選に置き換えることができるかというのが,最初の疑問であった。その先には人格再生AIへの代替があるのだけれど,それは今はおくことにする。

一般化すると,人間の作る集団・組織・社会へ,その構成員を加えるときに,どのような機構があり得るかという問題だ。集団の長(定員一人)も1つの組織だとして扱えばよい。
家族に子どもができるのはおおむね自然現象であり,出生届によって社会的に承認されるが,そのためには選挙も抽選も必要ない。生殖細胞レベルでは選抜しているかもしれないが。希望するだけで無条件で参加できる趣味の同好会もあるだろう。

教育を受けるため職業に就くために学校や会社に所属するには,一定の選抜過程を経る必要がある。倍率が低ければ実質無条件の場合もあるかもしれない。学会に参加するためには,会費の納入と会員の推薦が必要だろう。このように,社会の中の様々な組織への所属過程には多様な機序が働くことになる。選挙はその一つとして機能するわけだ。

司法に関する裁判員は抽選で選ばれ,行政に関わる公務員は試験で選ばれ,立法に関する議員は選挙で選ばれる。それは何故か。現在(デジタルネットワーク+AI)の時代にもその条件はそのまま継続されるのか。これが今の自分の問題意識の根底にある。

このような議論は,へたをすると落合陽一や成田悠輔や立花孝志の二の舞いで地獄の穴に落ちるかもしれないし,自分の心の中にもそのような悪魔が住んでいるかもしれないが,それはそれとして考えてみようという欲望を抑えることはできない。

図:選挙なのかそれ以外なのか?

集団や組織を表現する緑の円内への参加指向がある場合と無い場合について,それぞれ,自然発生,指向(希望)があれば単なる確認だけで承認される場合,抽選や順番などの単純な機械的ルールがある場合,希望者多数であるいは希望者への要求水準が原因で,条件・試験・選挙で選抜する必要がある場合,に整理してみた。まだ不十分かもしれない。

2024年12月11日水曜日

小春日和

小春日和は,晩秋から初冬の暖かく穏やかな晴天だとのことだ。もう仲冬・大雪に差しかかったが,今年は夏が長かったので,昨日今日は快晴で典型的な小春日和といってもかまわないか。

12月に入ると,日の出は6:45より遅くなって寒いので,例年朝の散歩はお休み期間に入る。ところが今年は,自宅でできる運動教室で散歩の重要性をたたき込まれたので,小春日和の昨日今日,昼食前の散歩にでかけた。昨日は北東50分6000歩,今日は北55分7000歩といったところ。

10月中旬にヒノヒカリの刈り取りが終って,枯れた稲株が残ったままになっているところもあるけれど,まだ元気な田んぼでは,新しい青い葉が再び伸びてきてきれいに揃った状態になる。よく乾燥したこの時期に,この青々とした田んぼをトラクターで耕しているところが多いのに初めて気がついた。

毎年,散歩で見える季節と風景は繰り返すようで,少しずつ不可逆に変化し,いまさらのようにちょっとだけ新しい発見がある。



写真:ここは少し沼っているたんぼだけれど(撮影 2024.12.11)


2024年12月10日火曜日

1000人の人格再現

10億人のペルソナ再現性からの続き

arxivにおもしろい論文があった。現実の1000人の人間の態度や行動をシミュレーションするエージェントを構築することができ,その再現性が評価された,というものだ。どうする。

Q(koshix):
この論文を,大学生が理解できる程度に専門的な知識を踏まえつつ詳しく説明し直してください。

A(ChatGPT-4o):

1.タイトルとテーマ
(1) 論文タイトル
(2) テーマ
 大規模言語モデル (LLMs) を活用して、人間の態度や行動をシミュレーションするエージェント(プログラム)を構築する研究。

この研究の目的は、現実の人間1,052人の行動や思考をAIで再現する新しい方法を提案し、その有用性を検証することです。これにより、社会科学や政策立案の分野でのシミュレーション活用が期待されます。

2.研究の背景
(1) 行動シミュレーションの意義
社会科学では、政策や介入の効果を試すために人間の行動を再現するモデルが重要視されています。これまでの手法(エージェントベースモデリング、ゲーム理論など)は、単純化されたルールや仮定に基づいており、複雑な人間の行動を完全には捉えきれませんでした。
(2) 大規模言語モデル (LLMs) の可能性
LLMs(GPTなど)は膨大なデータから人間の言語や行動パターンを学習しており、複雑なシミュレーションの基盤となる可能性があります。ただし、ステレオタイプやバイアスの問題を克服しながら、精度の高いシミュレーションを行うことが課題です。

3.研究の方法
(1) データ収集
対象者:アメリカの人口を代表するように設計された1,052人(年齢、性別、地域、教育水準、政治的イデオロギーなどで層化されたサンプル)。
インタビュー:2時間の音声インタビューをAIインタビュアーが実施。内容は、人生の物語、価値観、社会問題への意見、性格、行動についての質問。平均で6,491語のトランスクリプトが得られる。
(2) エージェントの構築
生成型エージェント:
各対象者のインタビュー内容を基に、その人を模倣するエージェントを作成。エージェントは、LLMsにインタビューデータを注入し、その人の視点や態度を模倣するよう指示される。エージェントはテキスト入力に応じて回答を生成できるほか、記憶機能を用いて文脈に応じた応答も可能。
(3) 評価
評価方法:
エージェントがどれだけ元の対象者の回答を再現できるかを比較。
主な評価基準:
General Social Survey (GSS): アメリカの社会的・政治的意見に関する質問集(カテゴリー回答)。
Big Five 性格特性 (BFI-44): 性格を測定する質問集(数値回答)。
行動経済学の実験ゲーム: 信頼ゲームや囚人のジレンマなどで行動を評価。
社会科学実験: 実験条件に基づく態度や行動の変化を評価。
評価指標:
Normalized Accuracy: エージェントの予測精度を、対象者自身の回答の一貫性と比較。
Mean Absolute Error (MAE): 数値回答における誤差。

4.結果
(1) 精度
エージェントは対象者の回答を、対象者自身の再現精度に対して平均85%の精度で模倣できた。他の手法(単なる統計情報や簡易なプロフィールを基にしたエージェント)と比べて、インタビューを用いたエージェントは14-15%も精度が高い。
(2) ステレオタイプの軽減
エージェントは、人種や政治的イデオロギーによるバイアスを軽減。
例: インタビューを基にしたエージェントは、人口統計情報のみを用いた場合に比べて、パフォーマンスのばらつきが小さい。
(3) 行動経済学のゲームや社会科学実験
経済ゲームでは、エージェントの回答が実験参加者の行動を良好に予測。
社会科学実験でも、エージェントは実験結果の再現に成功(5つの実験中4つで再現)。

5.議論
(1) 意義
インタビューを活用したエージェントは、対象者の個別性を反映し、バイアスを抑えつつ高い精度で態度や行動を模倣できる。社会政策や組織設計のシミュレーションツールとして有望
(2) 課題
スケーラビリティ: 大規模インタビューのコストや時間。
倫理的配慮: プライバシーやデータ利用に関するリスク。
 
この研究は、人間の行動を模倣するエージェントを構築するための新しい方法を提示しました。特にインタビューを用いたアプローチは、従来の統計的手法よりも優れた予測精度を示し、社会科学や政策研究に新しい道を開く可能性があります。今後は、より広範なデータセットや異なる文化的背景での適用を進めることが課題となります。

このシミュレーションの精度があがると何ができるか。
(1)昔,夢想していた教育実習の仮想化などなど,対人活動すべての訓練
(2)代議制民主主義の修正版など,政治活動のシミュレーション,選挙予測にはリアルタイムでシミュレータを更新する必要があるかもしれない。
(3)企業でいえば,マーケティングとか組織管理とか。
(4)行政でいえば,すべての政策について事前シミュレーションが課されることに。
(5)災害時の対応とか戦時対応とか治安対応とか,非常に危険なツールになる。



2024年12月9日月曜日

関心領域

日曜日の午後,録画してあった関心領域ジョナサン・グレイザー)を観た。2023年度第96回アカデミー賞の国際長編映画賞と音響賞を受賞した作品だ。

音だけが聞こえる真っ暗な画面が延々といつまでも続くところから始まったので,若干不安になった。明るくなって主人公のルドルフ・ヘスの家族が池にピクニックに行くシーンにホッとする。対象への距離が遠めで正対した構図が多用され,カメラとともに状況を醒めた眼で見ることになる。

アウシュビッツ=ビルケナウ強制収容所の所長だったルドルフ・ヘス(Rudolf Franz Ferdinand Höß,1901-1947)の一家の収容所の隣にある家での生活が大きな事件もなく淡々と描かれていく。その背景には,強制収容所で殺されていくユダヤ人が存在することのシグナルを示すエビソードがふんだんに折り込まれ,ヘスも妻も家政婦たちもそれには気づいているわけだ。完全な無関心ではない。

ヘスはベルリンに転属になるが,妻はその快適な環境から離れることを強く拒否し,そのまま住み続ける。映画の最終盤に,現在のアウシュビッツ・ビルケナウ博物館の朝の清掃のシーンが挿入され,それが映画の中で唯一強制収容所の内部が映し出される場面となっている。

強制収容所 ⊂ 関心領域の世界 ⊂ 関心領域を見ている自分たちの関心領域の世界,という入れ子構造の中で,自分たちにもまた見えていないもの,薄々見えていながら見えないふりをしているものが山のようにあるわけで・・・。そのうえ,見えたつもりになったとしてもそれがフェイクの罠だったりする。



図:アウシュビッツ=ビルケナウ Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ強制収容所の配置([2]から引用)

P. S. ルドルフ・ヘスは二人いた。もう一人のヘスはナチス副総統で親衛隊長のルドルフ・ヘス(Rudolf Walter Richard Heß,1894-1987)である。1941年に飛行機でイギリスに逃亡し,ニュルンベルグ裁判では死刑を免れている。

2024年12月8日日曜日

クロスウェイなかまち

このあたりには道の駅がたくさんある。奈良県全体でも17ヶ所。メジャーなのは,名阪国道の針インターに併設されている針T・R・S(針テラス)であり,最も新しいのが,奈良市に先週オープンしたクロスウェイなかまちだ。

クロスウェイなかまちは,奈良県道7号線と第二阪奈道路(中町ランプ)の交わるところの南西角にある。その東隣にはイオンタウン富雄南が,南西隣には富雄丸山古墳(4世紀後半)がある。この古墳からは,237cmもある国内最大の蛇行剣と過去に類例の無い鼉龍文(だりゅうもん)盾形銅鏡が最近発掘されている。

平日なのでそこまで混んでいないかと思いきや,11月30日から12月15日までは開駅記念フェアが開催中だからか,駐車場はほとんどいっぱいだった。ドッグランが併設されているので犬連れの家族がたくさん集結していた。店内は旬の駅が運営していて,それほど目新しいものもないのだ。もっとも,1/4スケールの蛇行剣ポップコーンが販売されていた。レストランは行列ができていたのでこれはパス。

天理市内には,山の辺の道沿いのなら歴史芸術文化村に併設された道の駅がある。また自宅から最も近いのは,国道24号線沿いにある鍵・唐古遺跡史跡公園西隣のレスティ鍵・唐古という道の駅だ。まあ,道の駅ばかり集めても何かもらえるわけではない。



写真:クロスウェイなかまちからの帰り方(2024.12.6撮影)

家に帰ると,襟巻きがみあたらない。どこで落としたか一生懸命思い出すが全く心当たりがない。結局,クロスウェイなかまちに電話してみたところ,届けられていることがわかった。襟巻きを紛失したのは5年ぶり2回目だ。大丈夫か。

2024年12月7日土曜日

自宅でできる運動教室

しばらく前に天理市の保健医療課から,自宅でできる運動教室のアナウンス(対象はおもに65-74歳)があった。先着80名ということでさっそく電話予約しておいた。

当日,13:30に到着するとすでに24番,たぶん定員の80名には達しているようだ。14:00の開始前に血管年齢の測定がある。左手人さし指の脈動の応答時間を赤外線で測定するものらしい。前に並んだおじさんおばさんは,若いですねー15歳もとか,10歳もとかいう声が聞こえてきた。期待していたら,自分の結果は48点で74歳相当(実年齢+3歳)でがっくり。まあ普通なんですけどね。

トータルフィットの梅田陽子さんが講師で,天理市の保健医療課でまとめた高齢者健康データの説明からはじまって,ウォーキングの話が前半,後半は座席で足の運動と簡易スクワットの実技を行った。天理市民は奈良県民や全国平均と比べてウォーキングの数値が低くて,つまづいて転倒する率がかなり高くなっている。だからもっと歩いてほしいのだけれど,天候や安全の問題があるので,自宅でできる運動教室ということらしい。



写真:自宅でできる運動教室

2024年12月6日金曜日

デ・キリコ展

神戸市立博物館で開催中のデ・キリコ展のチケットをいただいていたので,朝から神戸に向かう。

12月8日までの開催で,もしかして混むかと思っていたけれどそんな気配は全くなし。それはそうか。入口の前に,写真1のようなお知らせがあった。「お名前に「きり」が付くご本人とその同行者1名まで,非売品のポストカードをプレゼントいたします。」

おーぅっ,ビンゴ!私の名前は越「桐」です。さっそく,その辺にいた係のお姉さんに申告して,ポストカードを2枚ゲットした。なかなか珍しいプレゼント当選だった。桐竹勘十郎一門とか桐野夏生とか皆来たら良いのに。

デ・キリコ展は昔京都で妹と一緒にいった。発掘してみると,1974年の2月10日-3月24日京都国立近代美術館の展覧会だった。春休みで金沢からこちらに出てきていたのか。ジョルジュ・デ・キリコ(1888-1979)の自選回顧展という位置づけという大規模な展覧会だった。



写真1:デ・キリコ展の特典(2024.12.3撮影)



写真2:デ・キリコ展で撮影許可の9枚(2024.12.3撮影)


2024年12月5日木曜日

天理大学

とてもきれいに晴れていたので銀杏並木を見ようと天理市中心部に向かった。雲一つない青空で,天理教本部前の道路の銀杏並木には撮影しているグループを沢山みかけた。

さて,昼ご飯をどうしようということになったが,なかなか適当なところがない。で,行ったことはないけれど天理大学の学食はどうかと。Google Mapで検索するとすぐそばじゃないですか。指示通りに進むと遠回りして鍵のかかった裏口に誘導された。インドのケースのように建設中の橋を示され落下して死ぬよりはマシだ。

11時30分だというのに,広い食堂には学生がだれもいない。どうなっているのでしょう。営業はしていたので,カツカレーと天大がっつりセットを注文して1300円。食べ始めたら三々五々と学生さんがやってきた。レジには野球部と寮生の名簿があって,彼らはチェックするだけで食べられるらしい。

天理大学の杣之内キャンパスは天理教の建物や天理図書館が建ち並ぶ敷地内にあって幹線道路も通っているため,とてもオープンな環境になっていてよろしい。もちろん,食堂は一般の人も自由に利用できるわけだ。

食後,天理大学で韓国語の公開講座があるのか確かめに行こうと,事務室のある建物に向かった。そこには学生支援課と教務課しかなかったので,教務課で尋ねたところ,公開講座という言葉がまったく通じない。かろうじて科目等履修生の手続きは教えてもらえたが,どうなっているのでしょう。

家に帰ってから調べると,公開講座は2,3のごく限られたものだけであり,韓国語はなかった。たぶん,社会連携室あたりに問い合わせなければならなかったのだ。なお,奈良新聞社が主催し,天理大学と連携して開講している語学講座があることがわかった。



写真:天理大学の食堂(左)と講義棟(右)(2024.12.2 撮影)

2024年12月4日水曜日

非常戒厳

昨日の夜,宙わたる教室の第9回を見終わって,午後11:00ごろさあ寝ましょうとおふとんに潜り込んで,Blueskyを眺めていたら,韓国で戒厳令という記事が目についた。えっ!フェイクニュース?

さっそく,ネット上をいろいろ調べるとどうやら本当かもしれない。BBC,CNN,アルジャジーラ皆報じている。しかし,テレビをつけてみると,まったくニュース速報が流れてくる気配もない。NHK,朝日新聞などのウェブ版をみても全く情報がない。むむむ。

午後11時23分になって,はじめて日本語でニュースが流れたのはLINEニュース(聯合ニュースから)のもので,「尹大統領が非常戒厳令発令 従北勢力を撲滅し憲政秩序守る」というタイトルの記事だった。

時系列は概ね次のようになっている。

12/03 22:22 尹錫悦 非常戒厳を宣言(YTV 全国放送)
12/03 23:00 陸軍参謀総長戒厳司令官 戒厳司令部布告
 1.国会と地方議会、政党の活動と政治的結社、集会、デモなど一切の政治活動を禁止する。
 2.自由民主主義体制を否定したり、転覆を企図する一切の行為を禁止し、フェイクニュース、世論操作、虚偽の扇動を禁止する。
 3.すべての報道と出版は戒厳司令部の統制を受ける。
 4.社会混乱を助長するストライキ、怠業、集会行為を禁止する。
 5.専攻医をはじめ、ストライキ中または医療現場を離脱したすべての医療人は48時間以内に本業に復帰して忠実に勤務し、違反時は戒厳法によって処断する。
 6.反国家勢力など体制転覆勢力を除いた善良な一般国民は、日常生活の不便を最小限にできるように措置する。  
12/03 23:48 国会敷地内に軍230人が進入
12/04 01:00 韓国国会 非常戒厳の解除要求決議案(190名全員賛成/定員300名)
  →国会議員の過半数の賛成=戒厳の宣布の無効化
12/04 02:03 韓国軍戒厳投入兵力の原隊復帰
12/04 02:30 採決後の国会議員はそのまま議会に待機
12/04 04:20 尹錫悦 非常戒厳解除方針を発表

尹錫悦が非常戒厳を宣告したのが午後22時22分,BBCが初報を出したのが30分後の午後22時50分,NHKはそれからさらに40分以上遅れてようやく報じていた。どうなってるの。あまり重要ではないと思われる北朝鮮のミサイル発射のときは,はりきってニュース速報を出し回るのに,肝腎なときは,他国主要報道機関よりずっと遅れを取ってしまっている。



写真:国会前に集まった市民と警官隊(聯合ニュース・ロイターから引用)

この時間に数千人の市民が抗議の意思表示をして警察によって封鎖された国会前に集結している。韓国はすごい。日本では到底無理な光景かもしれない。このおかげで国会決議が可能になったのかもしれない。

2024年12月3日火曜日

物理AI基盤モデル

AI Feynman(4)からの続き

世の中のあらゆる“未知の物理現象”を予測できるAI」というおどろおどろしいタイトルの記事がITメディアに掲載されていた。えええっ,これはなんだ。

ということで,原論文「A Phenomenological AI Foundation Model for Physical Signals」を読んでみた・・・というか,NotebookLMに読ませてみた(^_^;;;)。いろいろ質問したところ,こんなことかなというのがわかってきた。と思ったけど,読解力が不足していた。これは,生成AIに頼りすぎて読み解く力が衰えてきたためだ。知能のフレイル現象

Q(koshix):
論文の内容を以下のようにまとめましたが,不正確な部分を修正してください。

「ある特定の物理現象の解析にAIを用いることはよく行われている。今年のノーベル化学賞のタンパク質構造予測もその一例だろう。太陽系外惑星の探索に深層学習を利用する場合のように,大量のデータから特徴をつかみ出すことができる。あるいは大量のデータの中に潜む法則性=方程式を導くこと,さらには方程式を経由せずにデータから直接別のデータを予測することなどなどがある。

今回の論文では,複数の物理現象にまたがって,背景となる物理法則を与えずに,AIによって新しい予測を可能にするというものだ。その結果,単独の現象だけでAI予測をする場合よりも精度が上がる場合があるというのだ。たぶん,複数の減少をまたぐことで,物理法則による制限がインプリシットに含まれているのではないかと思われる。

5.1億個のデータを分析しているというが,何種類の実験を対象にしているのかが必ずしもはっきりしなかった。論文で例示されていたのは,減衰調和振動子でカオス的な振舞いをするもの,電流エネルギーの熱エネルギーへの転化やその逆過程,都市や国レベルの電力消費や気象データなど,複数種類のセンサーの測定値の時系列の関係を表現するものだ。

測定値の時系列データは適当な時間幅に区切られて数値化し,それらの生成順序を含めたデータにすることで,大規模言語モデルのトークンのように扱うことができる。とNotebookLMは説明してくれた。なるほどもっともらしい話だ。あとは通常のLLMの手法が使えるということか。」

A(NotebookLM):
ご指摘いただいた論文内容のまとめについて、ソースに基づいて修正点を以下に示します。

(1)物理法則を用いないAI予測:論文で提案されているAIモデルは、複数の物理現象にまたがるというよりも、物理法則に関する事前知識や帰納的バイアスを導入せずに、様々な物理現象を扱うことができる点が新しいです。このモデルは、単一の現象に特化したAI予測よりも精度が向上する場合があることが示されています。これは、多様な物理データで学習することで、物理法則による制約が暗黙的にモデルに組み込まれているためと考えられます。

(2)データ分析の対象:論文では、5.1億個のデータを用いてAIモデルを学習させています。このデータは、41種類の公開データセットから収集されており、河川流量、太陽光発電量、降水量、太陽活動など、様々な現象、物理量、センサーが含まれています。論文では、減衰調和振動子、熱電変換、都市や国レベルの電力消費、気象データなどを例として挙げて、モデルの性能を検証しています。

(3)時系列データの扱い:論文では、測定値の時系列データを一定の時間幅で区切り、数値化し、生成順序を含めたデータとして扱っています。これは、大規模言語モデルのトークンと同様に扱うことができるとのことですが、この記述はソースには見当たりません。NotebookLMの説明とのことですが、ソースの情報からは、このモデルが通常のLLMの手法と全く同じであるとは断言できません。

(4)モデルの構造:論文で提案されているモデルは、センサーデータを入力として、それを時系列の1次元パッチに分割し、Transformerベースのエンコーダネットワークを用いて共通の埋め込み空間に射影します。このエンコーダは、多様なセンサーデータで学習することで、特定のセンサーの種類に依存しない、様々な物理現象の根底にある時間的パターンを効果的に学習します。その結果得られるコンパクトな表現は、現象論的デコーダと組み合わせて、軌跡予測や再構成などのタスクに使用されます。

重要なポイント
・論文では、物理法則を明示的に与えることなく、多様な物理データから学習することで、様々な物理現象を予測できるAIモデルを提案しています。
・モデルは、ゼロショット学習が可能であり、学習データに含まれていない現象に対しても予測を行うことができます。
・論文では、このモデルが、大規模言語モデルと類似した能力を持っている可能性を示唆しています。
ご指摘いただいた内容とソースを比較検討することで、論文への理解が深まることを期待します。



図:物理AI基盤モデルの概念(A Phenomenological AI Foundation Model for Physical Signals から引用)

[3]AI for Science とデータ駆動科学(五十嵐康彦・竹中光・永田賢二・岡田真人)
[4]人工知能の弱点を補う物理学(高安秀樹)
[5]物理法則を組み込んだ深層学習(雪島正敏・清水浩之)

2024年12月2日月曜日

生成AI利用ガイドライン

生成AI利用の基本方針からの続き

文部科学省からは,生成AIの利用について各種の文書がでている。11月26日には,初等中等教育段階における生成AIの利活用に関する検討会議から,初等中等教育段階における生成 AI の利活用に関するガイドライン(素案)が出てきた。このファイルをChatGPT-4oに分析させた結果が次のものである。
Q(koshix):
この文章を普通の学校教員が読んだとします。
(1) 必ずしもAIやITの専門でないはずの教員たちが,理解困難な用語や文をリストアップしてください。
(2) 教員たちがAIの活用にしり込みしてしまう,あるいは圧力を感じてしまう,あるいは反発を感じてしまうような部分をリストアップしてください。

A(CahtGPT-4o):
(1) 教員たちが理解困難だと感じる可能性のある用語や文
以下のような専門用語や複雑な表現は、必ずしもITやAIの専門知識を持たない教員にとって理解が難しいと考えられます:

1.生成AI:特に「マルチモーダル化」「AIエージェント」「追加学習の手法」などの技術的な説明。
2.ハルシネーション:AIの誤った出力を指すが、一般には馴染みがない用語。
3.ファクトチェック:情報の真偽を確認する具体的な手法についての言及が不足している可能性。
4.情報セキュリティポリシー:専門的なガイドラインが前提となっており、教員が即座に内容を理解するのは難しい。
5.オプトアウト設定:生成AIが個人情報を学習しない設定についての説明不足。
6.ライセンスの所在:生成物に関する権利や使用条件について、具体例が少ない。
7.著作権法第35条:法律の専門的な適用範囲を具体的に理解するのが難しい。

(2)教員がAI活用にしり込み、圧力、反発を感じる可能性のある部分
以下のポイントが、教員の不安や抵抗感を生む可能性があります:
1.「AIリテラシーの要求」
 ・教師が「一定のAIリテラシーを求められる」と記載されており、技術的な負担が増えると感じる可能性。
 ・新しい技術に慣れるための時間や研修が不十分である場合、抵抗感を抱く。
2.「人間中心の原則」に基づく対応
 ・「AIは人間の能力を拡張する道具」と強調されているが、それを実現するための具体的な手順が示されていないため、教師自身が責任を負わされるとの印象を持つ。
3.「生成AIによる業務効率化」
 ・業務の効率化を期待される一方で、AIによる出力の確認や修正といった作業負担が実際には増えるのではないかと懸念。
4.「リスクへの対応義務」
 ・個人情報やプライバシー、著作権の問題に対する配慮が求められており、これらに関連するリスクの責任が教員にあると感じる可能性。
5.「児童生徒への影響」
 ・AIを児童生徒に利用させる際のリスクや、教育目的との整合性の確保が求められており、これをどのように管理すべきか分からない場合、負担感を感じる。
6.「評価基準の曖昧さ」
 ・AIによる生成物の正確性や適切性を評価する責任が教員に課されており、それに対応する基準や研修が不明確。
7.「技術的な進化への対応」
 ・「生成AIは急速に進化している」と記載されており、教師がその変化についていくことに不安を感じる可能性。

これらの要因を解消するには、研修やサポート体制の充実、具体例を交えた実践的なガイドラインの提示が求められます。 
素案自体はどうでもよいというか余り気にしていないのだけれど,検討委員の一人である言語学者の今井むつみさんからでていたコメントがおもしろかった。要は,いつものようなお役所仕事的な文書に対する苦情であり,教育のICT業界あるあるの「余りよく知らないのに聞きかじった知識を知ったかぶりで操って自分を大きく見せようとする習慣への警鐘である。自分にもそっくりそのまま当てはまりなので,へへーっと土下座してしまった。


図:生成AIの教育利活用ガイドラインのイメージ(DALL-E3による)


2024年12月1日日曜日

Contract for the Web

World Wide Web からの続き

今日も歩けば犬棒にあたる。
Q(koshix):
Contract for the Web について日本語で解説してください。

A(Claude 3.5 Sonnet):
Contract for the Webは、ティム・バーナーズ・リー(インターネットとWorld Wide Webの発明者)が提唱した、インターネットをより公正で安全、そして誰もが利用できる場所にするための基本的な原則と契約です。
この契約は、2019年11月にWorld Wide Web Foundationによって発表され、主に3つの主要な関係者(政府、企業、市民)に向けて、インターネットの健全な発展のための指針を示しています。
Contract for the Webの主な目的は以下のとおりです:

1.プライバシーとデータ保護の強化
・個人のデータを尊重し、保護すること
・ユーザーのプライバシー権を守ること

2.インターネットの開放性と中立性の維持
・インターネットを検閲や制限から守ること
・すべての人にとって包括的で平等なアクセスを確保すること

3.オンライン上の人権の保護
・オンラインでの表現の自由を守ること
・デジタル空間における差別や嫌がらせを防止すること

4.デジタル・リテラシーの向上
・インターネットを安全かつ建設的に利用するためのスキルを促進すること
・特に若い世代のデジタル教育を支援すること

5.インターネット企業の社会的責任の強化
・ユーザーの権利を尊重するビジネスモデルの推進
・透明性と説明責任の確保

具体的には、政府、企業、市民それぞれに対して以下のような行動を求めています:
政府:インターネットへのアクセス権を保障し、オンラインでの市民の権利を尊重すること
企業:ユーザーのプライバシーを尊重し、有害なコンテンツから人々を守るテクノロジーを開発すること
市民:お互いを尊重し、建設的で思いやりのあるオンラインコミュニケーションを心がけること

Contract for the Webは、デジタル時代における人権と社会正義を守るための重要な取り組みであり、インターネットをより良い、より公正な場所にするための青写真となっています。



図:Contract for The Web の表紙