湯川秀樹(2)・日本数学物理学会100周年からの続き
芥川龍之介が「蜘蛛の糸」を発表して百年。高二の秋の文化祭,クラスの仮装行列のテーマが 蜘蛛の糸だった。お釈迦様の極楽タワーの竹を近所から切り出し,地獄の焔と煙の絵を描いた。犍陀多に続いて蜘蛛の糸(登山部の赤いザイル)に群がる地獄の亡者だったころ。
2025年11月3日月曜日
物理の日
2025年11月2日日曜日
未知の科学パラダイム
科学の未来からの続き
ノーベル賞ウィークに寄せて・・・もう1ヶ月たったのか。
Q(koshix):人類がまだその問題の存在にも気付いていないような重要な科学的な問題というのはありますか?(ChatGPT-5はこれまでの人間の知識の上に成り立っているので,これに答えるのはなかなか難しいのではないかな・・・)A(ChatGPT-5):非常に鋭い問いです。
「人類がまだその存在にも気付いていない科学的問題」とは、「科学の“地図”そのものに抜け落ちた空白地帯」を問うものです。ここでは、現在の科学的パラダイムの“外縁”にあり、専門家の間でもまだ「問いの形を持っていない」領域を、いくつかの視点から整理します。(以下略,項目のみ)1.観測の限界から生じる「未定義問題」・認識の地平の外側にある現象2.「定義できないもの」をどう扱うかという問題・意識の物理的基礎3.生命・情報・エネルギーの統一的理論の欠如・生命の起源問題は“どこから始まるか”が定義されていない4.時間・因果・エントロピーの“構成的定義”の問題5.「まだ問題になっていない」可能性の例(推測的)6.まとめ:未発見問題のメタ構造科学は「問いの生成装置」でもありますが、その装置自体の構造が固定化されている限り、「未知の未知(unknown unknowns)」は問題化されません。今後の科学の進化は、おそらく**“問題生成のメタ科学”**(meta-science of problem formation)として展開されていくでしょう。ご希望があれば、これらを「現代科学の盲点10選」「次の100年で現れる可能性のある新しい科学パラダイム」といったレポート形式に展開することもできます。どちらの方向に深めましょうか?Q(koshix):次の100年で現れる可能性のある新しい科学パラダイム でA(ChatGPT-5):(前略)次の100年で現れる可能性のある新しい科学パラダイム(12案)1.構成的時間(Constructive Time)核心命題:時間は原理的パラメータではなく、情報状態遷移の不確定性から“構成”される派生量。検証可能性:量子熱力学系で「情報的時間」と物理時計の乖離を可視化(極低温・強相関・非平衡)。ブレークスルー:開放量子系での厳密可解モデル+高精度エントロピー流束トモグラフィ。ビーチヘッド:量子計算のエラー訂正スケジューリング(“時間設計”で性能向上)。2.情報‐物質‐エネルギー三位一体(I-M-E Trinity)核心命題:情報は物質/エネルギーと等価な保存・変換則を持つ(ランドアウア限界を超える包括法則)。検証可能性:分子機械・細胞での情報駆動作業の熱力学効率の上限を実験で特定。ブレークスルー:ナノスケールでの精密計測と因果推論の融合計器。ビーチヘッド:合成生物学の“情報作業素子”設計(低エネルギー演算生体チップ)。3.生命の相転移(Life as Phase Transition)核心命題:生命は自己参照的情報循環が臨界値を超えて生じる相転移。検証可能性:原始地球模倣反応ネットワークで臨界的自己複製の普遍指数を測定。ブレークスルー:オープンエンド進化のベンチマーク化(“生命らしさ”指標の標準)。ビーチヘッド:異星生命探査の判定規準、バイオセキュリティの閾値設計。4.観測者を含む物理学(Observer-Inclusive Physics)核心命題:観測者(装置・学習系)と対象は同じ力学で共進化する。測定は相互情報流の固定点。検証可能性:強結合量子計測で“学習する装置”と系の同時トモグラフィ。ブレークスルー:学習理論+量子理論の公理統合。ビーチヘッド:センサーが自動で最適測定基底を獲得する自律計測工学。5.多層因果(Multilayer Causality)核心命題:ミクロ‐メゾ‐マクロの因果は単一階層で閉じず、双方向拘束(トップダウン約束事)で閉路を作る。検証可能性:介入可能なメゾスケール実験(組織・材料・都市)で上位制約の可逆性を定量。ブレークスルー:反事実推論を含む因果グラフの“スケール結合”理論。ビーチヘッド:創薬(細胞→組織→個体の因果橋渡し)、マテリアルズ・インフォームドデザイン。6.計算可能性の再定義(Physics of Computability)核心命題:自然は計算クラスを持ち、物理資源(エンタングルメント、非線形性、トポロジ)が計算境界を変える。検証可能性:量子誤り耐性領域での“超多項式優位”の持続条件を実験で確立。ブレークスルー:資源理論の統一(エンタングルメント・魔性・非局所性の換算)。ビーチヘッド:計算限界から逆算する材料・装置設計(“計算駆動ハード”)。7.形態場の科学(Morphogenetic Fields 2.0)核心命題:生体形態は拡散・電気・力学・遺伝子発現の結合場として記述される(擬似ゲージ場)。検証可能性:再生生物で電位地形操作→器官再生成の再現実験。ブレークスルー:高時空間分解・非侵襲の電気‐機械‐遺伝ダイナミクス可視化。ビーチヘッド:創傷治癒促進、臓器チップ、低侵襲再生医療。8.普遍アーキテクチャとしての「意識」(Consciousness as Architecture)核心命題:意識は情報統合ではなく“アクセス権限アーキテクチャ”(自己モデルと行為選択の同期)。検証可能性:神経介入下で“アクセス構造”だけを変え、現象意識指標が変動するかテスト。ブレークスルー:機能的自己モデルの実装と測度(Φに代わる操作的指標)。ビーチヘッド:鎮静・覚醒制御、意思決定障害の治療、AIの安全性評価指標。9.ダーク sector の“表現変数”転換核心命題:ダークマター/エネルギーは重力場の有効自由度の“別表現”(幾何と情報の二重記述)。検証可能性:小スケール構造と重力波背景の相関異常。ブレークスルー:量子重力のホログラフィック情報保存則と大域幾何の接続。ビーチヘッド:宇宙論パラメータの再推定、重力レンズ最適化観測。10.逆向き工学としての気候(Inverted Climate Science)核心命題:気候系を制御理論の対象として扱い、観測→同化→介入の閉ループで“設計可能な地球”へ。検証可能性:限定的・可逆的な微介入(海洋アルベド、成層圏エアロゾルの安全域)で応答測定。ブレークスルー:倫理・国際法と結合した「小さな可逆実験」の標準化。ビーチヘッド:極端気象リスクの局所低減、炭素循環の能動制御。11.社会‐技術の共進化則(Socio-Tech Coevolution Law)核心命題:社会制度・技術アーキテクチャ・行動規範は相互強化ループで進化し、安定点を持つ。検証可能性:都市スケールの介入実験(交通・エネルギー価格・情報提示)で長期固定点を同定。ブレークスルー:因果推論+マルチエージェント実験基盤(政策のA/Bテスト)。ビーチヘッド:パンデミック対応、脱炭素移行、AIガバナンス。12.宇宙生態学(Cosmic Ecology)核心命題:惑星系はエネルギー・情報・生命のネットワーク生態であり、生命は宇宙スケールの流通現象。検証可能性:系外惑星バイオシグネチャ複合指標+テクノシグネチャの“混合検出”。ブレークスルー:大望遠計+長期時系列の統合(光化学と産業痕の分離)。ビーチヘッド:アストロバイオの統合データ同化、探査ミッション設計。A.早期の「兆し」を捉える実装ロードマップ(10–30年)・計測:非平衡エントロピー流束、開放量子系の同時計測、メゾスケール因果介入装置。・形式化:スケール結合因果グラフ、資源理論の統一、アクセス権アーキテクチャ指標。・ベンチマーク:生命相転移指標、宇宙バイオ・テクノ混合シグネチャ標準、社会実験の倫理枠組。・装置:自律学習センサー、低エネルギー情報作業素子、生体‐電子ハイブリッド。・融合研究拠点:量子×情報×生命、観測者包含物理、制御気候の安全実験場。B.リスクと可否判定(フェイルファスト設計)・可否基準:明確な反証可能な予測を最低1つずつ設定(例:形態場2.0→特定電位地形パターンで器官再生の確率が閾値超)。・負の外部性:気候介入・合成生物は可逆・局所・段階的でのみ実施。・メタ評価:パラダイム候補ごとに「投入資源→観測可能な知識利得」の効率を年次評価。C.まず着手できる具体タスク(実務向け)(1) 小型の開放量子系で情報的時間の指標を定義し、既存時計とのズレを測る実験設計ノート。(2) 原始地球模擬装置での自己参照循環の臨界測定プロトコル(反応ネットワーク+機械学習)。(3) 再生生物の電位地形マッピングと介入試験の前臨床計画。(4) 社会実験プラットフォームでの政策A/Bテスト(交通×価格×情報提示)設計。(5) 宇宙長期時系列のテクノ・バイオ混合指標の開発(偽陽性率の数理評価)。(後略)
図:次の百年の未知のパラダイム(Imagen による)
P. S. ビーチヘッドとは橋頭堡のことらしい。
2025年11月1日土曜日
生成AIの明日
生成AIの未来からの続き
論文をよく読むと(ChatGPTに読んでもらうと),成績がでた対象は数独とか迷路などの単純な問題だけだった。それにしてもこんな調子で,複数のモデルが集まって組み合わされば全体としてパフォーマンスがすごく上がるのではないか。と誰でも考えるようなことが頭に浮かんだ。
発端は,"Less is More: Recursive Reasoning with Tiny Networks"という論文だ。通常の大規模言語モデル(LLM)では,機械学習における調整パラメタ数が数千億(数百B)以上だとされているが,この論文の階層化推論モデルでは数千万(数十M),極小再帰モデルでは数百万(数M)パラメタで,通常のLLMを上回る成績がでたというのだ。ほんとか。
そういえば,四則演算もまともにできなかった初期の頃に,問題を分割して外部アプリ(Mathematicaとか)に投げればいいのにとは思った。そしてそれは検索を含めて既に実現されているはず。そんなことをつらつら考えて,ChatGPTやGeminiと相談しながら次世代の生成AIのアーキテクチャを編集しているとどんどん凡庸なものになっていってしまった。
さらにこれを図示しようと試みる。SVGには落としやすいのだが,PowerPointファイルに変換すると文字化け始めてなかなか思うようにならず挫折した。しかたがないので,ChatGPT+Gemini+DeepSeekの知恵を寄せ集めた結果のSVG版をみながら,自分でPowerPointファイルを書き起こすことにした。その過程で自分なりに編集を加えたものが下図である。
その出来具合をChatGPTに聞いてみたところ,どれも既に実現済みであって新規性には欠けるけどまあまあ整理されているといったところだった。それにしてもコア処理レベルの構造が,1.意図理解・文脈把握→2.作業分解・実施計画→3.実行制御・指揮→4.結果集約・検証→5.応答・統合出力,と自分の嫌いなPDCAサイクル的なものになってしまっていて閉口する。
モジュール実行レベルは,(A) 推論・⽣成エンジン,(B) 知識・検索基盤,(C) 計算・実⾏環境,(D) 外部接続ハブ,(E) 記憶モジュール(短期・⻑期),(F) ⽣成メディアモジュール,(G) 信頼・安全・監査 であり,いずれもありふれたものでしかない。こうやって,下手にAIに相談することによって,どんどんアイディアとかひらめきが手のひらからこぼれ落ちていくのであった。
図:明日の生成AIのモデル(このPowerPoint図は自作です。)

