学校で学んだ「知識」でも,その表層をなぞるだけで実は理解していないということがたくさんある。その散らかった「知識」の山の中に思いもかけない「発見」をすることが希にある。普段はそのよくわかっていない言葉を統計的オウムのようにつなげるだけで,理解したつもりで「知ったか会話」することができる。
さて今回のテーマはヌクレオチド。放送大学でみかけたのだろうか。
(1) 単糖が結合(グリコシド結合)して多糖(例えばデンプン)になる。アミノ酸が結合(ペプチド結合)してタンパク質になる。ここまではよく知っているつもり。ところでヌクレオチドが結合(リン酸ジエステル結合)して核酸になる。そうか,DNA(デオキシリボ核酸)やRNA(リボ核酸)の構成単位をヌクレオチドと呼んでいたのか。
(2) ヌクレオチド=塩基+糖+リン酸である。この糖はデンプンを作るブドウ糖=グルコースのように炭素6個ではなく,炭素5個からなるリボースやデオキシリボースと呼ばれるものだ。単糖を炭素数で分類すると,3〜7個のものがあって,その代表がヘキソース(C6個)とペントース(5個)だ。
(3) リボースとデオキシリボースの違いは2'の炭素に位置につくのがOHかHかだ。デオキシリボースはde oxi なので酸素が欠けている。つまりこれまで何の気なしにつかっていたDNA=デオキシリボ核酸(デオキシリボースからなるヌクレオチドがつながってできる核酸)のデオキシは酸素が欠けているという意味だった。ガッテン!×3
(4) ところで,このRNAやDNAの構成単位であるヌクレオチドは塩基+ペントース(リボースまたはデオキシリボース)+リン酸だったけれど,みなさんよくご存知のATP(アデノシン3リン酸)もヌクレオチドの一種だった。RNAの構成要素であるAMPにリン酸基が2個追加されたものが,ATP = アデニン(塩基)+リボース(糖)+3リン酸というわけだ。ATPは多くの生化学反応でエネルギーを運ぶ非常に重要な分子だ。これがRNAの構成要素の親戚だとは。
(5) リボースとデオキシリボースからなるリボヌクレオチドとデオキシリボヌクレオチドは,RNAとDNAの骨格をなして,それぞれ化学的に比較的不安定で作業用の情報坦体と化学的に安定して長期的な遺伝情報を保存する役割を果たすことになる。
今日の結論:ヌクレオチドはRNAやDNAの構成要素,ATPはヌクレオチドの一種。
図:DNAやRNAを構成するヌクレオチドとATP

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