2022年4月19日火曜日

abc予想(3)

abc予想(2)からの続き

$c > rad(abc)\ $が成り立つabcトリプルを例外的abcトリプルとよぶことにする。そうはいっても前回は,これが無限個存在することも示している。例外的トリプルの個数を計算してみると,$c<1,000\ $で31個(全トリプル151,895個),$c<10,000\ $で120個(全トリプル個15,196,785),$c<100,000\ $で418個(全トリプル1,519,805,376)となる(最大10^15のオーダーまでの数の素因数分解を10億回しなければならないので,めちゃ時間かかった)。

これを計算したMathematicaコードは次の通り。

Rad[n_] := Times @@ (First /@ FactorInteger[n]);
f[n_] := {k = 0; Do[If[Rad[a*b*(a + b)] < a + b && GCD[a, b, a + b] == 1, k = k + 1], {a, 1, n/2 - 1}, {b, a + 1, n - a - 1}]; Print[k]};
g[n_] := {k = 0; Do[If[GCD[a, b, a + b] == 1, k = k + 1], {a, 1, n/2 - 1}, {b, a + 1, n - a - 1}]; Print[k]};
f[1000]
31
g[1000]
151 895
そこで,少しだけ条件を変更することで,例外的トリプルが有限個になるようにできないかを考えたところ,次のような予想が立てられた。(1)と(2)は同等であり,これがabc予想といわれるものである。

(1) 任意の$\varepsilon > 0$ に対して $c > {\rm rad}(abc)^{1+\varepsilon}\ $を満足するabcトリプルは高々有限個しか存在しない。

(2) 任意の$\varepsilon > 0$ に対してある $K(ε) > 0$ が存在し、全ての abcトリプルについて$c < K(\varepsilon) {\rm rad}(abc)^{1+\varepsilon}\ $が成り立つ。


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