2020年7月19日日曜日

集合の濃度(2)

集合の濃度(1)からの続き

濃度の和:2つの集合A,Bに対してそれぞれの濃度を μ = card A,ν = card B とする。A∩B = φ が満足されるとき(いつでもこのようなA,Bあるいは対等で濃度の等しい集合を設定することができる),2つの濃度の和とよばれる演算を,μ + ν = card (A∪B)  によって定義する。

濃度の和が満たす法則:定義により,交換則,結合則,零元(空集合の濃度)の存在,などが満たされる。可算集合の濃度 ℵ_0 について,ℵ_0 =1+ℵ_0 =2+ℵ_0 =ℵ_0 +ℵ_0 が成り立つ。

濃度の積:2つの集合A,Bに対してそれぞれの濃度を μ = card A,ν = card B とする。2つの濃度の積とよばれる演算を,μ ν = card (A×B) によって定義する。ただし,A×Bは2つの集合の直積である。

濃度の積が満たす法則:定義により,交換則,結合則,単位元(要素が1つの集合の濃度)と零元の存在,分配法則などが成り立つ。例えば,card (×) = ℵ_0 なので,ℵ_0 ℵ_0 = ℵ_0 である。

配置集合:任意の集合A,Bにおいて,AからBへの写像fのすべての集合を配置集合といい,𝔉(A, B) または B^Aで表す。A,Bがm個およびn個の元を持つ有限集合の場合は,配置集合の元の数はn^m個になる(f(1)〜f(m)に重複を許して1〜nを当てはめる場合の数)。

濃度の冪:2つの集合A,Bに対してそれぞれの濃度を μ = card A,ν = card B とする。このとき, 2つの濃度の冪とよばれる演算を, ν ^ μ = card (B^A) によって定義する。ν ^ 1 = ν,1 ^ μ = 1などが成り立つ。

濃度の冪が満たす法則:0でない濃度に対して,普通の自然数の冪に対して成り立つ指数法則が成り立つ。例えば,λ^μ λ^ν = λ ^ (μ+ν),(μ ν) ^ λ = μ^λ ν^λ,(λ ^ μ) ^ ν = λ ^ (μ ν) など。また,card M = μ となる集合Mの冪集合の濃度は,card 𝔓(M) = 2^ μ > μ である。

無限濃度の演算則:有限の濃度を𝔫,可算の濃度を𝔞,連続の濃度を𝔠とすると,
 (1)  𝔫 ≦ 𝔞 ⇒ 𝔫 + 𝔞 = 𝔞
 (2)  𝔫 ≦ 𝔠 ⇒ 𝔫 + 𝔠 = 𝔠
 (3)  1 ≦ 𝔫 ≦ 𝔞 ⇒ 𝔫 𝔞 = 𝔞
 (4)  2 ≦ 𝔫 ≦ 𝔞 ⇒ 𝔫^𝔞 = 𝔠
 (5)  1 ≦ 𝔫 ≦ 𝔠 ⇒ 𝔫 𝔠  = 𝔠
 (6)  2 ≦ 𝔫 ≦ 𝔠 ⇒ 2^𝔠 = n^𝔠


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