2018年12月17日月曜日

ジョン・ウィリアム・ニコルソン

2018-12-16 原子モデルとプランク定数の続き

「20世紀の物理学(L. M. Brown, A. Pais, B. Pippard:丸善)」の 第2章「原子と原子核の導入(A. Pais)」の85pには,ハースに続いてニコルソン(英国出身 John William Nicholson 1881-1955 )の1912年の論文が紹介されている。この論文は,ボーアの1913年の論文でも引用されている。

ニコルソンは質量$m$の$n$個の粒子からなる半径$a$のリングのエネルギー$E$と回転振動数$\omega$の比が角運動量$L$に等しいことに気付き,これがプランク定数$h$に比例する,すなわち角運動量が量子化されることを初めて示唆した。
\begin{equation*}
h=\dfrac{E}{\omega} = \dfrac{m n a^2 (2\pi\omega)^2}{\omega} = m n a^2 (2\pi \omega) \cdot 2\pi = L \cdot 2\pi
\end{equation*}
ニコルソンは,彼の原子モデルを使って星のスペクトルの説明を試みていたが,その過程で上の関係を考えたようだ。ボーアモデルまでの経緯については,森川亮の「量子論の歴史 − 原子の物理学へ − 量子論へのプレリュード −」が詳しいかも。また,角運動量の量子化については,J. H. O. Sales, A. T. Suzuki の "The Old Quantization of Angular Momentumfrom Planck's Perspective" を参照する。

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