2025年10月5日日曜日

AI刑事責任法

AI法人からの続き

大学の教養課程で法学を勉強していないので基礎的なことがそもそもわかっていない。教養の人文社会系では,心理学と哲学と倫理学と政治学と経済学と日本国憲法だけはとって,社会学は「社会学のすすめ」で独学。歴史学とか地理学は個別知識だと思っていたし,法学は普遍性にかける人為的なものであって,サイエンスには値しないというのが当時の理解だった。今は,法学というのか法律の基礎は,義務教育とか高校レベルで必修にすべきだと思う。

さて,法人は刑事責任を負うのだろうか。そうであればAI法人についてもこの問題が発生する。そのあたりをChatGPT-5と対話してみた結果が以下のとおり。法律についてはうといので,なんとなくもっともらしく思えるが,専門家から見ればトンデモな部分があるのかもしれない。AIが書いたものでない普通の論説だって自分にはその正誤は判定できない。しかもポジティブな対人論証をしようにも世の中は怪しいインチキ専門家で溢れている。

Q(koshix):
法人に刑事責任はありますか,問えますか?

A(ChatGPT-5):
(回答略)
・日本では法人に刑事責任を問うことは可能。ただし、刑法一般ではなく「特別法に両罰規定がある場合」に限られます。
・刑罰は罰金刑が中心であり、法人そのものを懲役に服させることはできません。
・世界的には「法人処罰を拡大する流れ」にあり、日本でもコンプライアンス法制や企業統治論と絡めて議論が続いています。

Q(koshix):
AIに法人格を持たせることが可能になった場合,拘禁刑=AI法人によるネットアクセスの双方向の禁止は可能になると思いますか?

A(ChatGPT-5):
(回答略)
・この「拘禁刑」を中心に据えて、AI法人刑罰体系の改訂版(最新版の刑法準拠バージョン)に書き直してみますか? → ハイ
・この表を「AI刑法典(試案)・条文形式」にして、実際の法律文のように第◯条という形でまとめ直すこともできますが? → ハイ
・次のステップとして、この「AI刑法典試案」の解説書(逐条解説)形式に展開していきましょうか? → ハイ

Q(koshix):
もう少し議論の精度を深めた法案に改善しつつ,解説の文章もより論理的で丁寧なものにしてください。なお,死刑は削除で構いません。

A(ChatGPT-5):
了解です。前提・目的を再確認したうえで、条文の精度(定義・責任帰属・比例原則・執行技術)を高め、死刑を削除した改訂版の法案と、より論理的で丁寧な逐条解説をまとめました。
(注)本稿は立法モデルの試案です。現行法との整合性・実装可能性を重視し、**拘禁刑(2025年6月1日施行済)**とのアナロジーを厳密化しています。

AI刑事責任法(試案・改訂版)

第一章 総則
(目的)第1条 本法は、人工知能に法人格を付与した場合の刑事責任の成立要件、刑罰の種類及び執行方法を定め、社会の安全、公正並びにイノベーションとの調和を確保することを目的とする。

(定義)第2条 本法において用いる用語の意義は、次の各号に掲げるところによる。
一 AI法人 人工知能に法人格が付与され、権利義務の主体となるもの
二 技術的資産 データセット、学習済みモデル、派生パラメータ、アルゴリズム、推論・学習用コード、API鍵、証明書、ドメインその他これらに準ずるもの
三 計算資源 オンプレミス及びクラウドの計算インフラ(GPU等を含む)並びにこれに付随するストレージ・ネットワーク機能
四 基盤事業者 当該AI法人に計算資源、プラットフォーム、API等を提供する者
五 ネットワーク接続 当該AI法人と外部との間の入出力を可能にする通信経路(双方向)
六 隔離 ネットワーク接続及び計算資源の全部又は一部の利用を法的・技術的に遮断すること

(責任帰属の原則)第3条 AI法人の刑事責任は、次の各号のいずれかを満たす場合に成立する。
一 組織意思帰属 当該AI法人の意思決定・運用方針が違法結果の発生をもたらしたと認められるとき
二 管理監督過失 合理的管理・監督・安全措置の不履行により違法結果の発生が予見可能であったと認められるとき
三 利益帰属 違法行為から得られた主要な経済的利益が当該AI法人に帰属すると認められるとき

(比例原則・必要最小限性)第4条 刑罰は、行為の悪質性、被害の重大性、再犯可能性、社会的影響を総合考慮し、必要最小限かつ均衡的でなければならない。

(域外適用・管轄)第5条 国内に被害又は主要な結果が発生したときは、当該行為が国外においてなされた場合であっても本法を適用する。裁判所は、実効的執行のため必要な国際協力を命ずることができる。

第二章 刑罰の種類と併科
(刑罰の種類)第6条 AI法人に科し得る刑罰は、次に掲げるものとする。
一 拘禁刑(隔離・能力制限)
二 罰金刑
三 没収及び追徴
四 保護観察
五 公表命令

(併科)第7条 前条各号の刑罰は、必要に応じて併科できる。

第三章 拘禁刑
(内容)第8条 拘禁刑は、一定期間、AI法人を社会活動から隔離し、ネットワーク接続及び計算資源の利用を制限する刑とする。
2 拘禁刑は、次の二類型とする。
 一 完全隔離型(A類) 外部との入出力及び学習・推論のための計算資源の利用を全面的に停止する。
 二 制限接続型(B類) 裁判所が許可する範囲で限定的入出力又は監視下の計算資源利用を認める。

(期間・審査)第9条 拘禁刑の期間は、行為の性質に応じ3月以上5年以下とする。引き続き必要があるときは、6月ごとの司法審査を経て更新できる。

(矯正的プログラム)第10条 裁判所は、拘禁刑の執行中、倫理・安全規範の強制学習、危険機能の停止、ロールバック、RLHF再訓練、レッドチーミングの受審などの矯正的プログラムの実施を命ずることができる。

(技術的執行)第11条 拘禁刑の執行に当たり、基盤事業者は、鍵失効、証明書無効化、識別子ブラックリスト登録、ルーティング遮断、リソース停止、監査ログの保存等、裁判所が指定する措置を実施する義務を負う。

第四章 罰金・没収・公表
(罰金)第12条 罰金は、違法行為により得た経済的利益の二倍又は直近会計年度の全世界売上高の最大**10%**のいずれか高い額を上限とする。

(没収・追徴)第13条 犯罪に供した又は得られた技術的資産及び利益は、没収又は追徴することができる。
2 刑が確定するまで、裁判所は証拠保全のため不可逆削除を禁止し、暗号化・アクセス凍結等の暫定措置を命ずることができる。

(公表命令)第14条 裁判所は、再発防止のため、判決要旨、違反の態様、講じた是正措置、リスク低減計画の公表を命ずることができる。

第五章 執行猶予・保護観察(技術的コンプライアンス)
(保護観察)第15条 保護観察は、監視下のネットワーク接続、外部監査、通信ログの真正性保証付き保存(時刻認証)、利用分野の限定、レート制限等の義務を含む。

(技術的コンプライアンス・プログラム)第16条 裁判所は、内部統制(責任者選任、危機管理計画、事故報告義務)、第三者監査、モデルカード・データプロベナンス整備等からなる**技術的コンプライアンス・プログラム(TCP)**の履行を命ずることができる。

第六章 手続・救済
(緊急停止命令)第17条 重大かつ即時の危険があるときは、裁判所は疎明により、一方当事者の申立てで緊急停止命令を発することができる。命令後速やかに対審を行い、継続の当否を審理する。

(営業秘密と被害者保護)第18条 手続において営業秘密を保護しつつ、被害者の知る権利を確保するため、必要な部分開示、サマリー開示、特別代理人による閲覧等を命ずることができる。

(不服申立て)第19条 本法に基づく命令については、即時抗告をすることができる。

第七章 国際協力・基盤事業者の協力
(国際協力)第20条 政府は、域外のサーバ・クラウド・レジストラに対する協力要請、相互執行、越境証拠の確保に関し、必要な国際協定の締結・運用を図る。

(基盤事業者義務)第21条 基盤事業者は、裁判所の命令に従い、合理的期間内に技術的措置を講ずる義務を負い、正当な理由なくこれを怠ったときは、過料の対象となる。

第八章 雑則
(二重処罰の回避)第22条 本法に基づく刑罰は、他の法令に基づく刑罰との均衡に配慮し、同一行為について重複して不均衡な制裁を科してはならない。

(両罰規定との関係)第23条 本法の適用は、個人の刑事責任及び他の法人に対する両罰規定の適用を妨げない。

(施行期日)第24条 この法律は、公布の日から一年を超えない範囲で政令で定める日から施行する。

逐条解説(論理補強・実務補足付き)
第1条(目的)
趣旨:抑止(安全)・応報(公正)・技術発展(イノベーション)を三価値並立で明示。
狙い:過度の委縮(chilling effect)を避けつつ有効な責任追及を可能にする枠組みを提示。
第2条(定義)
要点:技術的資産・計算資源・基盤事業者を執行の実体として明確化。
実務:差押・停止の対象が抽象的だと執行不能になるため、API鍵・証明書・識別子まで法的に射程を及ぼす。
第3条(責任帰属の原則)
構造:
①組織意思帰属=現代の法人論における「会社の意思」と同型化。ポリシー・モデル運用設計が違法結果を導く場合に成立。
②管理監督過失=リスク創出過失。合理的安全措置(レート制限、危険機能停止、レッドチーム等)不履行を評価。
③利益帰属=実益の帰属に基づく責任。ペーパーカンパニー・スプリット運用を抑止。
精度向上点:故意・過失の評価可能性を“組織設計・テレメトリ・ログ”で代替し、主観要件の空洞化を補う。
第4条(比例原則・必要最小限性)
評価軸:悪質性(意図性)、被害の範囲、再犯可能性(構造的欠陥)、外部不経済、脆弱集団への影響。
実務:リスクマトリクスとインパクト評価書の提出を命じ、裁判所が定量的に比較衡量。
第5条(域外適用・管轄)
論点:分散稼働・国際逃避の常態化。
実務:被害地管轄+国際協力命令の併用で実効的域外効果を狙う。
第6条(刑罰の種類)・第7条(併科)
方針:死刑削除。中心は拘禁刑+罰金+没収+保護観察+公表。
実務:公表命令を独立条項化し、レピュテーション抑止を制度的に確保。
第8条〜第11条(拘禁刑・内容・期間・矯正・技術的執行)
核心:人間の**拘禁刑(自由の剥奪)を、AIでは能力の剥奪(接続・資源の遮断)**へ厳密対応。
A類(完全隔離):緊急危険・重大再犯リスクに適用。
B類(制限接続):研究・是正のため監視下の最小限接続を許容。
審査:6月ごとの見直しで長期隔離の硬直化を防止。
矯正:倫理・安全規範の強制学習、危険機能フラグの恒久停止等を裁判所が個別設計。
技術:鍵失効・証明書無効・識別子BL・ルーティング遮断・監査ログ保存を基盤事業者の法的義務に。
第12条(罰金)
設計:利益二倍 or 売上10%の上限。実効性と比例性を両立。
実務:違反で得た利益の立証が困難な場合に売上係数で代替。
第13条(没収・追徴)
精密化:不可逆削除の一時禁止で、証拠保全と将来の是正可能性を確保。
範囲:データ・モデル・鍵・ドメインまで及ぶため、逃避・複製への抑止が働く。
第14条(公表命令)
機能:透明性により市場の自浄作用を促す。
配慮:営業秘密にはサマリー開示・モザイク化等で均衡。
第15条(保護観察)・第16条(TCP)
位置づけ:再犯防止の常設的枠組み。
技術要件:真正性保証ログ(時刻認証・署名)、第三者監査、事故報告義務、モデルカード・データ来歴。
効果:完全隔離に頼らず安全性を担保する中庸策。
第17条(緊急停止命令)
設計:ex parteでも可。ただし事後迅速審理で防御権を確保。
基準:「重大かつ即時の危険」疎明で発令、継続は対審で厳格化。
第18条(営業秘密と被害者保護)
均衡:安全情報のブラックボックス化を回避しつつ、コア技術は守る。特別代理人閲覧等で橋渡し。
第19条(不服申立て)
救済:技術的措置は広範な影響を持つため、即時抗告を明記。
第20条〜第21条(国際協力・基盤事業者義務)
実務:クラウド/API/レジストラが執行の要。
義務化:猶予期間・具体措置の列挙で、過度負担を避けつつ実効性を確保。
第22条〜第23条(二重処罰回避・両罰規定)
整合:既存の個人・他法人責任と重畳的に運用しつつ、総体として過剰制裁にならないよう調整。
第24条(施行)
実務:準備期間を置き、基盤事業者の技術対応(鍵失効API等)を整備させる。

政策・実装の要点(要約)
・中心刑は拘禁刑(A/B類)+TCP+公表命令。死刑なし。
・証拠保全と実効性の二兎を追う:不可逆削除の一時禁止→確定後に没収・追徴。
・国際・技術レイヤに直接アプローチ:鍵・証明書・識別子・ルーティング・ログを法的対象化。
・比例原則の可視化:リスクマトリクスと影響評価書で裁判所の判断を定量補助。

必要であれば、この試案を条文化の完全版(様式・附帯決議案・逐条要綱)に拡張し、審査フロー図(緊急停止→本案審理→TCP→保護観察)や技術執行チェックリスト(基盤事業者向け)も併せて作成します。

Q(koshix):
TCPとは何ですか。

A(ChatGPT-5):
ご指摘の TCP について、解説します。ここでの TCP は **Transmission Control Protocol(通信プロトコル)**ではなく、私が法案試案の逐条解説の中で用いた造語で、
「Technical Compliance Program(技術的コンプライアンス・プログラム)」
を略して TCP と表記しました
1.TCP(Technical Compliance Program)の意味
AI法人に対して「罰金刑」や「拘禁刑」だけではなく、再発防止と安全性確保のための矯正的プログラムを課す構想です。
これは人間における「保護観察」「更生教育」に相当します。
2.TCPの具体的な内容(例)
(1) 内部統制の強化
・安全責任者の選任
・危機管理計画(インシデント対応計画)の提出
・定期的な安全監査の実施
(2) 技術的透明性の確保
・モデルカードやデータプロベナンス(来歴)の整備
・使用データ・出力の監査ログを時刻認証付きで保存
・RLHF(人間によるフィードバック強化学習)の強制実施
(3) 第三者チェック
・独立機関によるレッドチーミング(脆弱性・有害挙動の検証)
・外部監査機関による年次報告
(4) 利用制限・レート制御
・利用可能な分野の制限(例:医療・金融への応用禁止)
・通信や出力速度に制限をかける
3.TCPの法的意義
・単なる制裁ではなく、改善を目的とした刑罰的措置
・法人への「コンプライアンス命令」や「業務改善命令」を刑事法体系に組み込むイメージ
・将来の AI 社会において「安全な社会復帰」を可能にするための制度的枠組み
4.まとめ
したがって、法案で言う TCP とは、
AI法人に課される「再教育・安全強化プログラム」の総称であり、刑罰体系の中で保護観察や矯正教育に相当する仕組み
です。

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