2024年10月27日日曜日

文楽のつどい

おいど出してからの続き

今年創立40周年を迎える国立文楽劇場で,10月16日,第135回文楽のつどいがあった。

国立文楽劇場友の会の会員を対象としたもので,外国人向けのプログラムの合間を縫って,1日に3回のバックステージツアーが催された。定員は100人で,高齢者を中心にほぼその人数が集まっていた。1階で,次回公演パンフレット,首かけ参加証,靴カバーを受取って14:30に入場,15:00開始のスケジュールだ。2階の文楽劇場の中央前席のブロックに自由席で座って開始を待つ。

最初に文楽劇場のスタッフによる舞台の背景や装置,舞台転換などの解説が30分,その後,竹本織太夫鶴澤清丈による太夫と三味線の解説がある。11月公演の仮名手本忠臣蔵,7段目祇園一力茶屋の段における寺坂平右衛門の演出とか,大序の表現とかの詳しい話が聞けた。清丈の三味線漫談もかなり面白かった。織太夫と清丈による解説は久しぶりだとのこと。こういうのは若手がやることになっている。しかも海外公演で主力がアメリカ5都市を訪問中だ。

さて,いよいよ靴カバーを装着し,花道を通って舞台にあがる。なかなか珍しい光景がみられる。13mの回り舞台がゆっくり回転したが,舞台上は100名で密集しているためコリオリの力を試すことはできない。その後,3組に分かれて,床の盆回しの裏側を見学する。なるほどこうなっているのか。次は,舞台背景に置いた人形との記念撮影,最後に雪を降らせてもらう。なかなかに力が必要だ。老人には難しい。


織太夫と清丈の話で思い出したのが,竹本相子大夫だ(奈良教育大学の出身だった)。12,3年前,国立文楽劇場友の会に入って文楽公演に毎回通うようになってしばらくのころ,文楽劇場の文楽鑑賞教室だったか,中之島公会堂での日経の文楽の夕べのどちらかで,いつものように文楽の説明があった。その担当が竹本相子大夫であり,調べてみるとこの当時の相方が鶴澤清丈だったと思われる。

相子大夫の説明は非常にわかりやすくて,文楽にもこんな人材がいるのかと感心したのだった。しばらく,相子大夫に注目していたのだけれども,あるとき(2013年11月)突然文楽座を退座してしまった。その理由がなんであるかもわからない(文楽協会からの説明がないのも不自然)。

少し調べてみると,退座前年の2012年の末に,相子大夫はR1グランプリに出場して1回戦を突破していたらしい。しかし,2013年の1月には,2回戦を辞退するとツイートしている。ちょうど,橋下徹大阪市長による文楽協会への補助金大幅削減が話題になっていた年のことだ。たぶん,いろいろな圧力なり思惑なりに巻き込まれていたのではないかと推察される。そのタイミングでなければ,新しい展開があったかもしれないのに。今月は,吉本が伝統芸能新喜劇を開催している・・・

相子大夫がいなくなってしまったことは本当に残念なことだった。清丈とのかつての文楽鑑賞教室での楽しそうな様子の痕跡がみられる。



写真:舞台から(左),織太夫と清丈(右:織太夫のSNSから引用)



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