2023年11月9日木曜日

昼夜時間(1)

11月8日は立冬。朝の散歩で,日の出がしだいに遅くなっていく。

日の出から日没までの昼時間の一年における変化は,三角関数になっているはずだと思い込んでいた。秋分から冬至にかけての位相はπ//2で立冬がπ/4だ。そうならば今ごろの日の出時間は午前6時(秋分)と午前7時(当時)の間の1/√2の午前6時40分ごろになるはずだが,実際には午前6時20分ごろ。もしかして,三角関数ではない?

小学校のころ緯度と太陽高度の関係ははさんざん勉強したはずだ。小学校5年生の理科では,春夏秋冬の良く晴れた一日が太陽高度の観察日にあてられた。授業中でも1時間毎に運動場に出て,画用紙をおいた画板に立てた棒の影の長さを記録するのだ。それでも昼の時間が1年でどう変わるかの定量的議論には至らなかった。小学生には計算できません。


図:昼夜時間計算のための座標

地球の自転軸を$z$軸とする$xyz$座標系を考える。$x$軸$\phi$方向すなわち$\bm{s} = (\cos\phi, 0, \sin \phi)_{xyz}$から太陽光線がくるものとする。ただし,公転面に対する自転軸の傾き$\phi_0=23.4^\circ$として,$-\phi_0 \le \phi \le \phi_0$の範囲で振れることになる。

この角度$\phi$は,地球の公転面を$XY$平面とした座標系において,自転軸の方向ベクトル$\bm{a}=(\sin \phi_0, 0, \cos \phi_0)_{XYZ}$と,太陽から見た公転軌道上の地球への方向ベクトル$\bm{t}=(\cos \tau, \sin \tau, 0)_{XYZ}$の内積の角度を$\pi/2$から引いたものになる。つまり,$\sin \phi = \sin \phi_0 \cos \tau$となる。


昼夜時間を求めるために,半径を1とした地球の$xyz$座標系で考える。

太陽入射光線の方向ベクトル$\bm{s}=(\cos\phi,0,\sin\phi)$に垂直な平面と地表面が交わる大円を考えると,大円上の点$(x,y,z)$は$x\cos\phi + z \sin \phi = 0$を満たす。なお,この大円より$x$軸負方向側が夜である。

緯度$\theta$の観測点は,$z=\sin\theta$なので,$x^2+y^2=\cos\theta^2$の小円上にある。さきほどの大円との交点が昼夜分界点となるので,これらの連立方程式を解いて,$(x_b,y_b)$を求めればよい。その結果,$x_b = -\tan\phi \sin\theta,\ \  y_b=\pm \sqrt{\cos^2 \theta-\tan^2 \phi \sin^2 \theta\ \ }$となる。

昼夜分境界点までの角度$\alpha$は,$\tan\alpha = \dfrac{x_b}{y_b} = \dfrac{\tan\phi \tan \theta}{\sqrt{1-\tan^2 \phi \tan^2 \theta\ \ }}$となる。
$\alpha$はラジアン単位なので,$\alpha \cdot \frac{180}{\pi}$で度になおし,さらに $\frac{24}{360}$をかけて,$\alpha \cdot \frac{12}{\pi}$が時間単位の値だ。この2倍が12時間からの夜時間の余剰部分に相当する。
これから夜時間の長さは,$T= 12\Biggl\{1 - \dfrac{2}{\pi} \tan^{-1}\Bigl( \dfrac{\tan\phi \tan \theta}{\sqrt{1-\tan^2 \phi \tan^2 \theta\ }} \Bigr) \Biggr\}$で与えられる。


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