2023年10月28日土曜日

鏡像法(4)

鏡像法(3)からの続き

鏡像法による電場の境界問題が簡単に解けそうなものとして,(点電荷,直線電荷)と(導体平面,導体円筒面,導体球面)の組み合わせを考えることができる。このうち,点電荷と導体平面,点電荷と導体球面を扱った。残りの組み合わせで簡単に解けそうなのが,無限線電荷と導体平面の例である。

導体平面に平行で一様な線電荷密度の直線が距離$a$を隔てておかれている場合,平面を挟んで反対側の鏡像の位置に逆符号の線電荷密度をもった直線を考えれば,導体平面上の境界条件が満たされる。これを図で表すと下記のようになる。

図:直線電荷と導体平面がつくる系の場合

$y-z$平面に導体平面があり,点P$(a,0,0)$を通って$x-y$平面に垂直な線電荷密度$\lambda$の直線がある。この系が作る導体平面での境界条件を満たす電場は,鏡像である点Q$(-a,0,0)$を通って$x-y$平面に垂直な線電荷密度$-\lambda$の直線を考えればよい。

無限に伸びた線電荷密度$\lambda$の直線がつくる電場は直線に対して軸対称であり,直線からの距離を$r$として,$E_r(r)=\dfrac{\lambda}{2\pi \varepsilon_0 r}$となる。したがって,$y-z$平面における電場の$x$成分は,$E_x(r) = -2 E_r \cos\theta = - \dfrac{\lambda \cos\theta}{\pi \varepsilon_0 r} = - \dfrac{\lambda \cos^2 \theta}{\pi \varepsilon_0 a}$となる。ただし,図右の∠OPRを$\theta$として,$r= a/ \cos \theta$である。

点R$(0,y,0)$ 近傍における微小面積にたまる電荷を考えたい。$y=a \tan\theta$であり,$dy = \dfrac{a d\theta }{\cos^2 \theta }$であることに注意する。$z$軸方向が単位長さで$y$軸方向の微小長さ$dy$に分布する電荷量$\delta q(\theta)$は,$\delta q(\theta)=1\times dy \times \varepsilon_0 E_x= - \dfrac{\lambda a}{\pi a} \dfrac{\cos^2\theta}{\cos^2\theta} d\theta$である。これを積分すると,$\displaystyle \int_{-\pi/2}^{\pi/2}\delta q(\theta) = -\dfrac{\lambda}{\pi}  \int_{-\pi/2}^{\pi/2} d\theta =-\dfrac{\lambda}{\pi} \times \pi = -\lambda$となる。


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