2023年5月15日月曜日

Bard再び

BardとStableLMからの続き

Googleの対話型AIのBardは,5月10日に開催されたGoogleの開発者イベントGoogle I/Oでリニューアルされた。日本語と韓国語に新たに対応し,180以上の国・地域で利用可能になり,https://bard.google.com で無料でアクセスできる。

これまでのgoogleにおける開発経緯をWikipediaの記事を参考に整理してみる(これをBard自身に尋ねてみたが,自分のことなのにかなり出鱈目な答えが混じっていて使えなかった)。

2020年1月28日 2.6BパラメタのチャットボットMeenaを発表
(2020年6月11日 OpenAI が GPT-3発表)
2021年5月18日 Google I/Oで,Transformerに基づく大規模言語モデルLaMDAを発表
(パラメタ数は,2B,8B,137Bからなる)
2022年5月11日 Google I/Oで,後継のLaMDA2を発表
2022年6月12日 GoogleエンジニアがLaMDA2は意識を持つと主張
(2022年11月30日 Open AIが ChatGPT(GPT-3.5)供用開始)
2023年2月 6日 LaMDAを組み込んだ対話型AIチャットボット Bardを発表
2023年2月 8日 Bardを公開(失敗・株価下落)ただちに閉鎖
2023年3月21日 Bardのアーリアクセス開始(USとUK)
(2023年3月14日 Open AIが ChatGPT(GPT-4)供用開始)
2023年4月10日 BardのLLMをLaMDAからPaLMに変更
2023年4月18日 Bardへの日本からのアクセス解禁(英語のみ)
2023年5月10日 Google I/OでBardのLLMをPaLM2へ切り替えた(発表・即日導入)

Googleの大規模言語モデル研究はトップを走っていたにも関わらず,2022年6月の
LaMDA2の意識問題で足を取られているすきに,OpenAIのChatGPTに先を越されてしまった。焦って2月8日にBardを公開したものの,期待が大きすぎたために些細な情報の不正確さが仇となって(宇宙望遠鏡の話)大きな失望を招いてしまった。バタバタとした結果,ようやく日本語や韓国語も使えるBardの公開に至ったわけだ。

BardをGPT-4と比較してみると,優れている点は (1) 無料であること,(2) 最新の情報をカバーしていること,(3) 応答時間が短く複数の回答があらかじめ用意されていること,がある。劣っている点は,(1) 推論がより不正確な場合がやや多い,(2) 説明が不十分な場合がやや多い,(3) 表現が劣る場合がやや多い。これだけならば,Bardの方がメリットが大きいように見えるが,実際の体験上はGPT-4に軍配をあげたくなる。

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