2023年3月21日火曜日

凹面鏡

軸対称な凹面鏡の断面の曲線が放物線ならば,鏡の対称軸=主軸に平行に入射する光線は反射して焦点に集まることが良く知られている。この曲線が一般の形の場合は主軸近傍では2次関数で近似できるので同様に焦点に光が集まる。近傍から外れた場合に生ずる焦点からのズレが収差となる。ところで,焦点を結ぶのは2次関数に限られるのだろうか?

$x$軸上の原点Oに凹面鏡の底を接地させ,$y$軸上にある焦点Fと原点Oの距離を$f$とする。原点近傍の凹面鏡の断面の曲線上の点P$(x, y(x))$について,直線FPの傾きは$-\frac{f}{x}$と近似できる。したがって,点Pにおける鏡面の傾きは,$\frac{x}{2f}$となる。つまり,$\frac{dy}{dx}= \frac{x}{2f}$という微分方程式が成り立つ。つまり,少なくとも原点近傍では $y(x) = \frac{x^2}{4f}$という2次関数でなければならない。

Mathematicaでのシミュレーションコードを書いてみた。

f2[a_] := a^2
t2[a_] := ArcTan[D[f2[x], x]] /. x -> a 
s2[a_] := Tan[Pi/2 + 2*t2[a]]
g2[y_, a_] := s2[a]*(y - a) + f2[a]
TrigExpand[f2[a] - a*s2[a]] // Simplify

Out[-]= 1/4

p0 = Plot[f2[x], {x, 0, 1}, PlotStyle -> {Red}]; 
p2 = Table[Plot[g2[y, 0.1*n], {y, 0, 0.1*n}], {n, 1, 8}];
q2 = Table[b = 0.1*n; 
   Graphics[ Line[{{b, 1}, {b, f2[b]}}, 
   VertexColors -> {Green, Blue}]],{n, 1, 8}];
Show[{p0, p2, q2}, PlotRange -> All, AspectRatio -> Automatic]


図:凹面鏡(放物面鏡)の断面図と焦点への結像


先ほどの議論を一般化する。凹面鏡の断面の曲線を$y(x)$とする。点P$(x,y(x))$における接線の傾きは,$y'(x)$であり,点Pにおける入射光線と法線のなす角度は,$\theta = \arctan{ y'(x)}$。そこで,点Pにおける反射光線の傾きは,$m = \tan(\frac{\pi}{2} +2 \theta) = -\frac{\cos 2 \theta}{\sin 2 \theta}  = \frac{y'(x)^2-1}{2 y'(x)}$となる。

さて,反射光線の方程式は,$Y-y(x)=m(X-x)$である。したがって,焦点の位置 を$(X,Y)=(0,f)$とすると,$f = y(x) - x \cdot  \frac{y'(x)^2-1}{2 y'(x)}$という微分方程式で定まる。先ほどの,$y(x)=\frac{x^2}{4f}$はこの方程式を満足している。

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