2023年3月19日日曜日

AIと職業

2015年だから今から7-8年前に,野村総研が「日本の労働人口の 49%が人工知能やロボット等で代替可能に」という調査結果を公表していた。それからしばしばこのような言説が色々な場面で登場することになる。自分の思い込みによればGIGAスクールとかSociety5.0の旗を振るときかもしれない。

その調査を請け負ったのは,2013年に英国における同様の調査 "The Future of Employment" という研究を行った,オックスフォード大学のオズボーンとフレイだった。本文テキストへのリンクがつながらなかったので,代替の資料を参考としてあげる。日本版の説明は資料[1]にある。

最近,ChatGPTなどの登場を受けて職業へのAIの影響度を分析したのが,Feltonらだ。彼らの分析手法は必ずしも手の込んだものではないかもしれないが,職業が代替されるかどうかまでは踏み込まずに,影響度の大きさを評価するということにとどめている。ただ,その分析方法が妥当なのかどうなのか。AIの影響が大きな職業ベスト20はかなり偏った結果になった。

なお,職業名の和訳にはGPT-4の力を借りたので少し微妙。「大学」というのは原文では post secondary という表現なので,大学や短大を含む高等教育ということになろうか。
1. テレマーケティング担当者
2. 英語・英文学教授(大学)
3. 外国語・外国文学教授(大学)
4. 歴史教授(大学)
5. 法学教授(大学)
6. 哲学・宗教学教授(大学)
7. 社会学教授(大学)
8. 政治学教授(大学)
9. 刑事司法・法執行教授(大学)
10. 社会学者
11. 社会福祉学教授(大学)
12. 心理学教授(大学)
13. コミュニケーション学教授(大学)
14. 政治学者
15. 地域・民族・文化研究教授(大学)
16. 仲裁者・調停者・調解者
17. 裁判官・裁判所判事・法官
18. 地理学教授(大学)
19. 図書館情報学教授(大学)
20. 臨床・カウンセリング・学校心理学者
同じ著者によるChatGPT登場以前の2021年論文の分析はまったく同じ手法だけれど,以下のようによりマイルドだった。どういうこと。以下がAIの影響の大きな職業ベスト20。
1 遺伝カウンセラー
2 金融検査官
3 精算士
4 卸売、小売、農産物以外の購買担当者
5 予算アナリスト
6 裁判官、裁判所判事、法官
7 調達事務員
8 会計士および監査人
9 数学者
10 司法書記官
11 大学教育管理者
12 臨床心理士、カウンセリング心理士、学校心理士
13 財務マネージャー
14 給与、福利厚生、職務分析の専門家
15 信用承認担当者、チェッカー、事務員
16 大学の歴史教師
17 地理学者
18 疫学者
19 経営分析士
20 仲裁者、調停者、調解者
[1]日本におけるコンピュータ化と仕事の未来(フレイ,オズボーン, 2015)
[2]Digital Automation and the future of work (Europian Goverment,2021)
[4]How will Language Modelers like ChatGPT Affect Occupations and Industries?(E. Felton, M. Raj, R. Seamans, 2023)

0 件のコメント:

コメントを投稿