2023年1月6日金曜日

新聞も消える

本屋が消えるからの続き

本屋の話題では,比較のため新聞発行部数のグラフを示した。12月に日本新聞協会が最新データを出したことでこれがまた記事になっていた。例えば,「1年で200万部減「新聞離れ」は止まらず 「一般紙」は15年後に消える勢い」などだ。

外岡秀俊(1953-2021)は同じ1953年生まれだ。札幌南高校から東大法学部に進み朝日新聞に入社した。在学中に書いた北帰行は石川啄木をテーマとした小説で文藝賞を受賞した。出版早々に読了して強い印象を受けた小説だ。てっきり彼は作家の道へ進むのものと思ったところ,朝日新聞に入社して編集局長までなったことに二度驚いたものだ。

彼が残した最後の論考が,「敗因」から探る新聞の未来,縮小か大胆なDXで再生か(Journalism 2022年1月号)だ。そこで指摘されていたのは日本の新聞社の敗因だ。それは,成功体験からの脱却ができなかったということにつきる。2000年に入ってからのDXに転換する最後のチャンス(当時はDXというキーワードはなかった)をみすみすと逃してしまった。

新聞やテレビの報道機能が縮小していくとして(すでにジャーナリズムの崩壊は進んでいる),外岡秀俊が最後に述べていたメディアの機能は誰がどのようにして維持していくのだろうか。あるいは民主主義が既存メディアと一蓮托生で終焉を迎えるのかもしれない。
SNSの時代が,この先どう変容するか,予見することはできない。だが,埋もれた事実を果断・公正に報道し,誤りがあればお詫(わ)びと訂正を出して品質を担保し,分断の時代に広い言論のフォーラムを提供するというこれまでのメディアの機能と役割は,どのような時代でも,欠かせない民主主義のインフラであり続けるだろう。


図:日本新聞協会のデータから(亀松太郎氏の作図を引用)


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