2022年5月22日日曜日

石原純

石原純(1881-1947,いしわらあつし)といえば,岩波新書でアインシュタイン・インフェルトの「物理学はいかに創られたか」の訳者で,相対論や量子論についての仕事もあるというのは知っていた。

石原純は,寺田寅彦とともに岩波の雑誌「科学」を創刊し初代編集主任を務めた。科学ジャーナリズムによる物理学(相対論や量子論)の普及への寄与が大きい。それだけでなく,正岡子規門下の伊藤左千夫に師事するアララギ派の歌人でもあり,同人誌「アララギ」の発刊に参加している。

医者や科学者が,短歌や俳句の世界でも活躍している例はたくさんある。寺田寅彦,斎藤茂吉,水原秋桜子,高野素十,西東三鬼,有馬朗人などなど。ところが,石原純の場合はその先があった。

1921年,妻子を持つ身ながら,アララギの歌人原阿佐緒(1888-1969,宮城県大和町)と恋愛事件を起こし,東北帝国大学を教授職を辞職して,ともにアララギを脱会するに至る。石原は,1933年に妻子のもとに帰り,1945年末に交通事故で重傷を負って,1年後の1947年に亡くなった。


写真:Wikipediaから引用した原阿佐緒のポートレート

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