2022年4月30日土曜日

1次元周期ポテンシャル

 月曜日の予習シリーズ。

1次元の周期ポテンシャル中を運動する粒子の問題を考える。

(1) 並進演算子:$\psi(x+\delta x) \approx \psi(x) + \delta x \cdot \frac{d}{dx} \psi(x)  = (1 + i \ \delta x \cdot p_x / \hbar ) \psi(x)$から,運動量演算子は微小並進操作と関係している。そこで,ユニタリ演算子,$U(a) = \exp( i\ a \cdot p_x / \hbar )$が,有限の並進操作を行う演算子となる。つまり,$U(a) \psi (x) = \sum_{k=0}^\infty \frac{1}{k!} (\frac{i\ a \cdot p_x}{\hbar})^k \psi(x) =  \sum_{k=0}^\infty \frac{a^k}{k!} (\frac{d}{dx})^k \psi(x) = \psi(x+a)$

(2) 1次元周期ポテンシャル:1次元のポテンシャル$V(x)$中を運動する質量$m$の粒子に対する定常状態のシュレーディンガー方程式は,$H \psi(x) = \{ -\frac{\hbar^2}{2m}\frac{d^2}{dx^2}+V(x) \}\psi(x)  = E \psi(x)$ である。このポテンシャルが周期$a$を持つとき,すなわち,$V(x+a)=V(x)$のとき,$U(a)V(x)\psi(x)=V(x+a)\psi(x+a)=V(x) U(a)\psi(x)$なので,$[U(a), V(x)]=0$,また,$U(a)$は演算子$p$から構成されるので,$[U(a),\frac{p^2}{2m}]=0$である。

(3) 固有関数の並進対称性:したがって,$[U(a),H]=$であり,$H$の固有関数は,$U(a)$との同時固有関数(絶対値1の複素固有値)になるから,$U(a) \psi(x)  = \exp(ika)\psi(x)$とかける。つまり,$\psi(x+a) = \exp(ika) \psi(x)$であり,$\psi(x)=\exp(ikx) \phi(x)$とすると,$\phi(x+a)=\phi(x)$を満足することになる。すなわち,ブロッホの定理「周期ポテンシャルの固有関数は同じ周期性を持つ関数と平面波の積となる」が成り立つ。

うーん,ここからクローニッヒ=ペニーモデルに持ち込むにはちょっと覚悟が必要だということがわかったので,宿題にする。


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