2022年3月26日土曜日

ロフテッド軌道(1)

北朝鮮の火星17号弾道ミサイル実験でのロフテッド軌道は,高度6250kmで水平飛距離 1090km 飛行時間 67分というものだったと北朝鮮の労働新聞が報じたことをNHKが伝えている。地球の半径が6370kmだから,国際宇宙ステーション軌道の15倍以上の宇宙空間まで達している。

これを初速度 $v$を与えた鉛直投射によって地球半径$R$の高度まで達したと近似する。エネルギー保存則から,$\frac{1}{2}m v^2 - \frac{GMm}{R} = 0 -  \frac{GMm}{2R} $より,$v=\sqrt{\frac{GM}{R}}$ となる(第1宇宙速度 7.9 km/s に一致するのか)。

地球半径のオーダの高度では,投射体に働く万有引力は地表の1/4まで減少するが,これを無視した$g=\frac{GM}{R^2}$の一様重力場とした。空気抵抗も無視して地球を平面と見なす。このとき,初速度が第1宇宙速度$ v $のミサイルを45度で斜方投射すると,最高度までの到達時間が $t=\frac{v}{\sqrt{2}g}$であり,水平到達距離$d$は,$d = 2 \frac{v}{\sqrt{2}} t = \frac{v^2}{g} = \frac{GM}{R} \frac{R^2}{GM} = R$ = 6400 km となる。飛行時間は,$2 t = \frac{\sqrt{2}v}{g} = 10^3\ {\rm s}$ = 17分。

この近似では,平壌からワシントンまでの11000 km には足りないのだった。もう少し真面目な計算をする必要がある。

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