2020年3月7日土曜日

感染症の数理シミュレーション(5)

感染症の数理シミュレーション(4)からの続き

ここ1,2週間が瀬戸際といわれ続けて,2週間を迎えようとしている。そこで,対策の効果や時期を感染率$\beta(t)$という1つの時間依存のパラメタに代表させ,これが感染者の増加にどのような影響を及ぼすかを見えるようにしたい。

感染症の数理シミュレーション(3)では,SIIDR2モデルとして,感染対策によって感染率を下げる効果を,感染シミュレーション開始時を基点とする指数関数的な因子$\beta(t) = \beta \exp(-t/\lambda) $によって導入した。これは,感染対策時間$\lambda$の数倍で感染率をほとんどゼロに近づけてしまうが,それは難しいのではないだろうか。

そこで,感染率を1桁程度減少させるとともに,対策導入日$\tau$を新たなパラメータとして加えた新しい対策時間因子を含む感染率を定義する。
\begin{equation}
\beta(t) =\dfrac{\beta}{15} \{ 8 + 7 \tanh \dfrac{-(t - τ)}{\lambda} \}
\end{equation}
感染対策の前後にはそれぞれ$\beta$及び$\beta/15$という一定の感染率を与える(15にはとくに根拠はない,パラメータの定量的な精度は求めておらず,オーダやファクターの評価ができればよいという立場である)。もし,対策開始日が$\tau=0$であれば,シミュレーション開始日の$t=0$の$\beta(0)=8\beta/15$となるので,これまでの$\beta$の定義の半分の値になっていることに注意する。

$\beta(t)$を$\beta$で割って,感染対策時間因子だけを取り出したものをグラフにすると次のようになる。横軸はシミュレーション開始からの日数を表す。
図1 感染対策時間因子β(t) λ=5 左からτ=5,10,15

図2 感染対策時間因子β(t)  τ=20 急峻な方からλ=5,10,15

どうやら政府は情報公開に力を入れるのではなく,マスコミやインターネットにおける情報抑制に全力を投球し始めた。ますます,正確な情報が見えなくなってしまう。






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