2020年1月12日日曜日

パラサイト

1月10日の日本経済新聞の夕刊のシネマ万華鏡で「パラサイト 半地下の家族」が★5つで紹介されていた。これは「グエムル−漢江の怪物−」のポン・ジュノ監督による2019年の作品で第72回カンヌ国際映画祭で韓国映画として初めてパルムドールを受賞したものだ。

早速,夫婦で見に行きました。前年のパルムドールは,是枝裕和監督の「万引き家族」だったが,これも映画館で見て面白かった。最初はこれに似た雰囲気なのかと思っていたら,そうではなかった。いずれも東アジアの貧困を焦点化した面と家族の深い関係を示唆している部分があるのだけれども,ポン・ジュノはさらにそれを進める。

コメディタッチで前半が進むが,やがてカオスが到来する。半地下の家でWiFiの電波を求めなければ生活が成り立たない様子,周到な計画で近代化された韓国を象徴するようなモダンな豪邸に入り込んでゆく過程,激しい雨の中を帰る家族を待っていた水害と避難所のシーン,高級住宅地の豪邸の庭でのパーティーを2階から俯瞰している場面など,必要最小限の説明で分かりやすい物語が進むと同時に,予想できない展開が待っている。

韓国の社会や文化については,それなりに学習してきているのと,同じ東アジア文化圏のメンタリティーがあることで,感情移入はしやすい。自分としてのこの映画のポイントをまとめると,「人生は計画通りに進まない」「差別はにおいから始まる」の2点ということにしておく。

P. S. 今朝のNHKの7時のニュースでは,パラサイトが紹介され,ポン・ジュノと是枝裕和の対談が放映されていた。


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