2024年7月8日月曜日

東京都知事選挙(4)

東京都知事選挙(3)からの続き

7月7日(日)の夜8時のNHK「光る君へ」はお休みで,短い予告の後に東京都知事選挙の開票速報が始まった。

昨晩の新宿の蓮舫街宣の写真やSNS記事を見ていた自分のイメージでは,石丸の伸びが止まって,小池と蓮舫がいい戦いを繰り広げるから,結果が出るまでに少し時間がかかるのではないかという楽観的な予想だった。

残念でした。ゼロ打ちでした。いきなり小池当確の大画面になった。しかも,2位が石丸で,蓮舫は3位の惨敗だった。当日の高投票率をみて菅野完が予想していた通りだった。


教訓:自分自身がエコーチェンバーの中に足をつっこんでいて,正しい状況分析ができていなかった。部分的には石丸優勢という声も聞こえていたが,聞きたくないものだから,自ら耳を塞いでしまっていた。


小池には,現役知事が持つ利権につながる根強い背景もあるし,政権与党の自民党,公明党に加え,都議会与党の都民ファーストの会や,共産党嫌いの連合などの幅広くしっかりした組織がついている。まあそこまで大きな不満が噴出していない現役都知事が勝つのは当然といえば当然なのだった。

これをひっくり返せるのは,無党派に大きなうねりが発生する場合に限られるのだけれど,今回は石丸伸二に風が吹いた。この前の国政選挙でN国や参政党に見られたあれだ。それにしても,なぜ石丸に若年層や中年層を中心としたこれだけの風が吹いたのか。

(1)新しいネットの力
マスコミはこの方向で議論を誘導しているけれど,もう少し丁寧な分析が必要。例えば,
  小池百合子 TikTok 1.6万 / X 91.3万 / YouTube 3640
  石丸伸二  TikTok 8014  / X 53.8万 / YouTube 30万
  蓮舫    TikTok 0       / X 57.1万 / YouTube 1万
  安野貴博  TikTok 524   / X  7.8万 / YouTube 9320
なので,確かにYouTubeの石丸伸二の存在感は大きい。これに,切り抜き職人やぶら下がりアカウントが多数発生して拡散を増幅している。このためそれらを含めたページビューの実数とその影響の定量的な評価には時間がかかりそうだ(注1)。

(2)自民党清和会の力
石丸伸二だけで,いくらボランティアが集まってもあれだけの規模の組織的な選挙運動は簡単にはできない。清和会系の自民党関係者(統一協会関係者)が選挙スタッフに入っていることは明らかになっている(本人は否定しているが証拠写真は存在)。また,パトロンの存在も含めて裏で様々な力が組織的に働いていることが考えられる。反小池票の分散が目的だ。菅野完が,石丸伸二を甘くみて,石丸票は小池票を削るといったのは誤りだった。

(3)既成マスコミの力
マスコミが小池に関する様々な醜聞や政策上の問題点(情報隠蔽,答弁拒否)に蓋をして,かつ,選挙報道をほとんどしていない。「多少問題があっても小池都知事はそこそこやってきた,蓮舫は文句ばかりで何もしていない」という刷り込みを続けてきた。これが,自ら主体的に情報を獲ようとしない層の意識を確実に固めている。その上で,民放の情報バラエティ番組では,アンチ蓮舫,親小池プロパガンダを盛大に埋め込んでいる。

(4)有権者の無知の力
結局のところ,有権者のマジョリティには小池の情報非公開ぶりも三井不動産や電通等との怪しい関係もほとんど伝わっていない。さらに,石丸の市長時代の安芸高田市や中国新聞をめぐる,パワハラ屁理屈しぐさもほとんど知られないまま(注:これが若者に受けているという話もあった),なんとなく無党派(そうではないのだけれど)の新しい人がでてきたという空気感だけで,これだけの集票ができてしまったという身も蓋もない話らしい。

広島1区を狙うと発言しているので,橋下徹レベルの危険ファシスト予備軍のマキャベリストだ(橋下/泉+石丸で新党をと言い出しているらしい・・・orz)。

(注1)その後の情報によれば,石丸の街頭演説などを撮影してYouTubeで拡散する仕事が多数クラウドワークスに上げられていたようだ。状況からほとんど公職選挙法違反案件だ。開票後のインタビューでおそるおそる聞いていた社もあったが,腰砕けだった。橋下の場合と同じで,マスコミにマウントするような対応をされると,弱々になってしまうのだ。

[2]朝刊チェック敗戦の弁(菅野完)
[4]石丸伸二候補への河合からの評価(ジョーカー議員)
[6]石丸伸二はなぜバズるのか(哲学系ゆーちゅーばーじゅんちゃん)
[7]蓮舫陣営が自滅した東京都知事選  -  戦略思考と緊張感の欠如、マスコミによる石丸伸二宣伝の奸計(世に倦む日々)→ 2024/7/9 追加(菅野完のマスコミ原因説の補強材料)

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