2024年5月18日土曜日

ドライシッパー

放射光施設からの続き

Wikipedia英語版にはDry Shipperがあるが,日本語版にはドライシッパーはない。

放射光学会のページを見ていると,トップページに,【お願い】ドライシッパーの適正利用という,何のことかわからないトピックが上がっていた。さっそく中を読んで見ると,次のようなことだった(Chat GPT-4oによる500字程度の要約)。
構造生物学の放射光実験では、凍結試料を「ドライシッパー」という容器で施設に送付します。この容器は液体窒素を吸着材に吸着させて極低温を維持し、リモート測定の試料輸送に不可欠です。しかし最近、宅配業者がドライシッパーの輸送を拒否する事例が増えています。原因は、液体窒素を満たしたまま輸送する誤った取り扱いにあり、これが漏出事故を引き起こし、輸送業者の安全を脅かしたためです。 
このような誤った取り扱いは、輸送業者だけでなく、低温サンプル輸送を必要とする全ての研究者にも影響を及ぼします。輸送業者が安全にドライシッパーを運ぶためには、ユーザーが液体窒素を完全に除いた状態で輸送することが必要です。学会員には、「ドライシッパーは必ず液体窒素を抜いた状態で輸送する」ことを強く求めています。

液体窒素自体は危険物ですが、ドライシッパーは2007年にIATAによって危険物適用除外され、国際輸送や航空機内持込も可能です。液体窒素を除いても10日以上極低温を維持できるよう設計されているため、適切に扱えば問題なく凍結試料を輸送できます。
ドライシッパーの原理を生成AIチャットに説明させようとしたが,ChatGPT-4oはいまいちだった。とくに図解がだめだ。Command R+はドライアイスと間違えている。Claudeは乾燥剤と間違えている。perplexityはほぼ正しいがもの足りない。Geminiがわりといい感じで素人向けの解説を出してくれた。次のとおり。
ドライシッパーの仕組み
 ドライシッパーは、まるで魔法瓶のような仕組みで、液体窒素の気化熱を利用して、内部を極低温状態に保ちます。
1.真空断熱構造
 ドライシッパーは、外側と内側の容器の間に真空層を設け、熱の出入りを極限まで抑えています。魔法瓶と同じ構造ですね。
2.吸着材
 ドライシッパー内部には、特殊なスポンジ状の吸着材が入っています。この吸着材に液体窒素を染み込ませることで、大きな表面積を作り出し、液体窒素の気化熱を効率的に吸収します。
3.気化熱
 液体窒素が気化するときに奪う熱量、つまり気化熱を利用して、ドライシッパー内部の温度を低く保ちます。これがドライシッパーの冷却メカニズムです。
4.温度維持
 液体窒素が気化しても、吸着材に染み込んだ液体窒素が補充されるため、長時間にわたって極低温状態を維持することができます。
まとめ
 ドライシッパーは、真空断熱構造と吸着材の組み合わせにより、液体窒素の気化熱を効率的に利用して、内部を-150℃以下の極低温状態に保つことができるのです。

図:ドライシッパーの構造(マウス生殖工学技術マニュアルから引用)

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