2024年4月29日月曜日

高齢者講習

松任谷正隆(1951-)が,運転免許の高齢者講習のエッセイを書いていた。自宅のすぐ近くにある自動車教習所におもむくと,姨捨山のような小さい部屋に,未来のない表情の老人が押し込められており,免許返納を迫られるような圧力を感じた,という恐ろしい話だ。

あれ,ついこの間自分にも,高齢者講習の葉書が来ていて予約したところだった。あなたはいつなのと家人に尋ねられ,macbookのメモを確認すると,なんと今日の午後だった。どうしましょう。


集合時刻の30分前に,新ノ口の奈良県警察本部運転免許センターの怪しい建物に入ると,もう7人の老人がどよーんと溜まっていた。自分で8人目だ。松任谷正隆の話とほぼ同じだ。

予定時刻が来ると順番に名前がよばれて,待合室の外に出て整列する。3番目だった。6人のグループができると1つの部屋に誘導された。大阪市立科学館長だった齋藤先生のような,背の高い元白バイ隊員の優しいおじさんが講師だ。1.講義(30分),2.視力検査(30分),3.実車(30分=1人10分×3人),4.DVD視聴(30分)の2時間のスケジュールだという説明がある。まずは,免許証の提出コピー,6450円の受講料の徴収,書類への署名などからスタートする。

講義のほとんどは,実車指導のやり方に関する説明や細かな注意事項だった。これに少しだけ交通安全の手引きの解説が加わる。視力検査は両眼でおまけしてもらい,1.2となった。たぶん,0.8-1.0くらいなのである。視野は右80度,左90度ということでいずれもOK。いよいよ3人チームで実車に向かう。

実車指導は1人ずつで,他の2人の老人はブックエンドのようにベンチで待たされる。車はオートマで,バックが必要な課題はありませんとのこと。エンジンをかけてギアをドライブに入れてもらうといよいよ教習開始だ。あくまでも試験ではないので,リラックスしてくださいといわれたものの,緊張はしなくても肩は凝る。

ややこしい教習コースをぐるぐる回らされ,1.左折・右折,2.信号待ち,3.一時停止,4.段差乗り越え,5.時速50km走行の5つの課題ができればよい。事前に丁寧な注意ポイントの説明があったので,なんとかこなせた。段差乗り越えで,アクセルの直後にブレーキを踏むまではよかったのだが,踏み込みが甘くて,1m以内で停まるべきところが30cmオーバーですといわれてしまった。しかたないですよね。

新ノ口の免許センターは老朽化して雨漏りもするらしいが,8年後に田原本青垣生涯学習センターのあたりに移転が予定されている。移転後は,バリアフリーになって,高齢者講習の実車指導の専用コースなどを整備されるようだ。あと2回は新ノ口での講習となるから,自分が田原本にいけるかどうかは微妙なところだ。



写真:免許更新センター外の一角にある怪しい待合室(2024.4.25撮影)

P. S. 今度からは,交通違反があると,実車指導の前に運転技能検査(試験だ!)が入ることになる。何回も受験できるとはいうものの,お金もかかるし面倒なことになるので,交通違反だけには注意しなければならない。

[1]高齢運転者支援サイト(全日本指定自動車教習所協会連合会)

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