2024年4月19日金曜日

祝祭資本主義

大阪・関西万博(2025.4.13-2025.10.13)まであと1年をきった。

なんやかやいわれながらも,シンボルの大屋根リングは8割方できている。海外パビリオンは,とても当初計画どおりにはならないが,開幕までにはそれなりの格好がついて,無事に始まりましたとお祝いムードが広がるのだろう。

YouTubeにTBSの報道1930「大阪・関西万博まで1年」現場は?なぜ脱却できない?“イベント資本主義』があがっていた。ゲストが片山善博吉見俊哉なので安心して見られる。日本では,戦後絶え間なくオリンピックと万博の誘致や失敗が繰り返されてきたとして,その問題点が分析されていた。

ジュールズ・ボイコフ(1970-)の祝祭資本主義でその有り様を説明していた。吉見俊哉がお祭りドクトリンとよんだ祝祭資本主義は,元オリンピックサッカー代表選手だったボイコフが,ナオミ・クライン(1970-)のショック・ドクトリン(惨事便乗型資本主義)をヒントに考えたものだ。お祭り騒ぎに便乗して納税者に負担を押し付けながら,政府の大型支出により特定の企業が潤うという官民一体型プロジェクトが祝祭だ。

惨事便乗型資本主義:武力紛争,テロリズム,自然災害,財政破綻など,国が惨事に晒されたときに,既存制度が破壊された空白をついて新自由主義の市場原理主義的な制度改変が一気に進められる様子(これを制度的に推進しているのが今の日本の憲法改正議論)。

祝祭資本主義:巨大な祝祭(オリンピック,万博の系列)が創り出す例外状態(state of exception)に乗じた資本主義の暴走。惨事便乗型資本主義とは異なり,公共部門が積極的な役割を果たし,その巨大支出に支えられた大資本などが莫大な利益を得る。

報道1930では,パトリック・ハーラン(1970-)が,バランサーになっていた。「そうはいっても結局日本人の多数派は五輪も万博も支持しているではないか」「米国の戦争ドクトリンよりも日本のお祭りドクトリンの方がまだましだろう」などなど。


【付録】
ジュールズ・ボイコフ:祝祭資本主義の六要素
(1) 例外状態=非常事態による法令逸脱と政治機能不全,(2) 片務的官民協調=民間の営利活動のリスクを官が負担,(3) お祭り的商業主義の加速化,(4) 警察権力強化,監視テクノロジーの発展とセキュリティ産業の席巻,(5) 環境保護と多様性と持続可能性の欺瞞,(6) マスメディア・SNSによる政治経済的スペクタクルの極大化

Q(koshix):ジュールズ・ボイコフの祝祭資本主義における6つの要素を説明してください。
A(生成AI):
ChatGPT(◎)
(1) インフラストラクチャーの再編成,(2) 公共資源の私有化,(3) 警察権力の強化,(4) 新自由主義政策,(5) 政治的なプロパガンダ,(6) 住民の追い出し
Command-R+(○)
(1) スペクタクル,(2) 象徴的消費,(3) ブランド化とイメージ作り,(4) 都市再生と空間の再編成,(5) 例外主義と規制緩和,(6) ネオリベラルアジェンダの推進
Claude(△)
(1) 贈与の義務化,(2) 誇示的消費,(3) 無秩序,(4) 浪費の奨励,(5) 共同体意識,(6) 新奇性の追求
Gemini(△)
(1) 商品化,(2)スペクタクル,(3) ブランド,(4) イメージ,(5) 体験,(6) アイデンティテイ
 Perplexity(×)
回答せず
Perplexityはこの手の問題に弱いのか・・・



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