2023年11月26日日曜日

万里鏡1号

11月21日の22時42分に,朝鮮民主主義人民共和国東倉里の西海衛星発射場から,新型ロケットチョルリマ(千里馬)1型が発射され,軍事偵察衛星マルリギョン(万里鏡)1号が衛星軌道に投入された。

これに関するNHKニュースを時系列に並べると次のようになる。
・11月21日 22時46分 Jアラート発令「ミサイル発射。ミサイル発射。北朝鮮からミサイルが発射されたものとみられます。建物の中、又は地下に避難して下さい。(対象都道府県:沖縄県)」(Jアラート)
・11月21日 23時15分 Jアラート発令「ミサイル通過。ミサイル通過。先程のミサイルは22時55分頃、太平洋へ通過したものとみられます。避難の呼びかけを解除します。不審な物には決して近寄らず直ちに警察や消防などに連絡して下さい。(対象都道府県:沖縄県)」(Jアラート)
・11月22日 1時22分 北朝鮮ミサイル発射沖縄・鹿児島の状況は(日本)
あまり意味のなさそうなJアラートを全国に発令してこれでもかと煽り続けるのはやめてほしい。そのぶん客観的で正確な情報を流してね。弾道ミサイル実験の場合と違って,10分ほどで高度500kmに到達し,衛星軌道への投入に切り替わる。この段階でレーダーによる追跡ができなくなったようだ。

少しフライングしているものの,人工衛星としての打ち上げ予告をしているのに,弾道ミサイル実験だと言い募るのもどうにかならないのか。軍事偵察衛星の実験はそれはそれで困るし,ミサイル技術の前進があるのは確かだけれど,弾道ミサイルとしての実験ではないだろう。

韓国が衛星打ち上げに成功したと確認したあとでも,「何らかの物体が地球の周回軌道に」とディスっても仕方ないだろうに。機能していなくても地球を周回していれば初の人工衛星の打ち上げ成功には違いない。万里鏡1号はNORADにも登録されていて,高度が遠地点519km,近地点499.6kmのきれいな太陽同期円軌道になっている。もちろん,カメラが正常で十分に機能しているかどうかは別問題だけれど。

1970年2月11日の,日本初の人工衛星おおすみの場合は,非軍事目的ということで誘導制御ができなかったこともあるが,遠地点5151km,近地点337kmの楕円軌道で,15時間で電池が熱やられて通信は途絶している。それでも光学観測で軌道は確認できたようだ。おおすみは,2003年8月2まで33年間地球周回軌道にあった。


図:万里鏡1号の軌道の例(NOY2.comから引用)


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