2022年10月22日土曜日

カーリングの原理(5)

カーリングの原理(4)からの続き

村田次郎さんの結論を整理すると次のように理解できる。


図:カーリングストーン(リングモデル)に働く力

広義の摩擦力は,速度方向と逆向きに働く動摩擦力と,衝突/固着点の回りに働く旋回力から成り立つ。その向きは図のように表わされる。衝突/固着の瞬間の撃力の寄与を除く旋回力はストーンの中心から衝突/固着点までの位置ベクトルと同じ向きになり,動摩擦力は進行方向の速度ベクトル$\bm{u}$と回転方向の速度ベクトル$\bm{w}$を合成したものと逆方向になる。

これらの力をリング上で平均すれば対称性によっていずれの場合もその合力は0になる。ところで,y軸の正負の領域間でアイスシートに対するストーンの速度に非対称性がある。上半面の速度$v_{-}$は下半面の速度$v_{+}$より小さくなる。旋回力と動摩擦力はともに速度が遅い方が大きいとする。これによって,旋回力では,ストーンの自転方向にカールする力の成分が残るが,同摩擦力では,打ち消し合いが依然として生ずることになる。

$y$軸方向の力を打ち消しあうペアが,同じ速度領域なのか異なった速度領域なのかがポイントだということになる。

(付)旋回力の図で,中心に示した矢印は衝突/固着時の撃力による重心の運動量変化に対応する力を現したものである。この項も,速度の非対称性の有無にかかわらず,キャンセルする項になっている。

付録(TikZでの変数や反復の方法について少しだけ勉強した):

\begin{tikzpicture}
\tikzstyle{every node}=[font = \large];
\draw[step=1.0, dotted] (-7.5,-3.5) grid (7.5,3.5);
\draw[->] (-7.5,0) -- (-0.5,0) node[below left]{$x$};
\draw[->] ( 0.5,0) -- ( 7.5,0) node[below left]{$x$};
\draw[->] (-4,-2.5) -- (-4,2.5) node[left]{$y$};
\draw[->] ( 4,-2.5) -- ( 4,2.5) node[left]{$y$};
\draw (-4,0) circle(2) circle(1pt) node[below left]{${\rm O}_1$};
\draw ( 4,0) circle(2) circle(1pt) node[below left]{${\rm O}_2$};
\draw[
<- br="" gray="" thick="" ultra=""> \node at (-3,0) [above right]{$u$};
\node at (-4,-3) [red, above]{旋回力の方向};
\draw[->, thick, gray] (-4,-0.5) arc [start angle=-90, end angle=90, radius=0.5] node[left]{$w$};
\draw[
<- 4="" 5="" br="" gray="" thick="" ultra=""> \node at (5, 0) [above right]{$u$};
\node at (4,-3) [blue, above]{動摩擦力の方向};
\draw[->, thick, gray] ( 4,-0.5) arc [start angle=-90, end angle=90, radius=0.5] node[left]{$w$};
\draw[dashed, blue] (6,1.4)--(2,1.4);
\draw[dashed, blue] (6,-1.4)--(2,-1.4);
\draw[dashed, red] (-5.4,-2)--(-5.4,2);
\draw[dashed, red] (-2.6,-2)--(-2.6,2);
\node[purple] at (-3.3, 0.5) {2,4};
\node[purple] at (-3.3,-0.5) {1,3};

\foreach \t/\s/\r/\d\q in {1/10/-1/0/{-}, 3/5/0/0/{-}, 5/-5/0/0.4/{+}, 7/-10/-1/-0.4/{+}}
{
\tikzmath{
integer \n, \m;
\n = (\t+1)/2; \m=abs(4-\t)-2;
\x1 = -4+2*cos(\t*45); \y1 = 2*sin(\t*45);
\u1 = -4+2.5*cos(\t*45); \v1 = 2.5*sin(\t*45);
\w1 = -4+1.5*cos(\t*45); \z1 = 1.5*sin(\t*45);
\x2 = 4+2*cos(\t*45); \y2 = 2*sin(\t*45);
\u2 = 4+(2.5+\r)*cos(\t*45+\s); \v2 = (2.5+\r)*sin(\t*45+\s);
\w2 = 4+1.5*cos(\t*45); \z2 = 1.5*sin(\t*45);
}
\filldraw[red] (\x1,\y1) circle(2pt) (\w1,\z1) node{$\n\ v_\q$};
\draw[->, thick, red] (\x1,\y1)--(\u1,\v1);
\draw[->, thick, purple] (-4,0)--({\m*(\u1-\x1)-4},{\m*(\v1-\y1)});
\filldraw[blue] (\x2,\y2) circle(2pt) (\w2,\z2) node{$\n\ v_\q$};
\draw[->, thick, blue] (\x2,\y2)--(\u2,{\v2+\d});
}
\end{tikzpicture}


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