2022年6月9日木曜日

アルゼンチンアリ

 先日のクローズアップ現代で,「静かなる侵略者“史上最強”アルゼンチンアリとの攻防」をやっていて,これは大変だ!と思った。

アルゼンチンアリは,南米原産の特定外来生物であり,日本で大繁殖しているとして,大阪空港や周辺の住宅地での調査や防護の様子が紹介されていた。生態系を破壊し農作物にも被害を与えるのは,複数の女王蟻を擁し,スーパーコロニーという巨大な地下ネットワークを作るからだ。国立環境研究所の五箇公一生態リスク評価・対策研究室がロックなヘアースタイルで説明していた。

ところで,この番組内容をどのくらいの重みで受け止めるべきなのだろうか。一般に放送番組は,その内容を強調して印象を強めるように作られている。放送直後の,これは大変だ!はどこまで尤もな話と考えればよいのか。念のために確認してみる。

環境省の生態系被害防止外来種リストのパンフレットをみると,全体像とアルゼンチンアリの位置づけがわかる。外来種リストには,421種が登録されている。そのうち,外来生物法(特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律)で定義される特定外来生物であり,かつ緊急対策外来種であるものは,ほ乳類8種,鳥類1種,爬虫類4種,両生類1種,魚類4種,昆虫類3種(アルゼンチンアリも含む),クモ・サソリ類3種,軟体動物1種,その他の無脊椎動物1種,草本植物(陸生植物)4種,草本植物(水生植物)9種の計38種である。

また,防除に関する手引きが作られているのは,アメリカザリガニ,アカミミガメ,アライグマ,カミツキガメ,オオクチバス,アルゼンチンアリの6種なのでそれなりに重要視されていることは間違いなかった。


図:アルゼンチンアリ(防除の手引きより引用, 実サイズは体長2.5mmで小さい)

[1]我が国の生態系等に被害を及ぼすおそれのある外来種リスト

0 件のコメント:

コメントを投稿