2022年3月8日火曜日

三次方程式の解(3)

三次方程式の解(2)からの続き

三次方程式 $\ x^3+p x + q=0\ $の解は,$x=y+\frac{p}{3y},\quad  y^3 = t\ $と変数変換すると,$\ t\ $の二次方程式$\ t^2+q t -\frac{p^3}{27}=0\ $の解から逆にたどって求めることができた。このとき,$x^3=1\ $の解,$\{1,\ \omega=\frac{-1+\sqrt{3} i}{2}, \omega^2=\frac{-1-\sqrt{3} i}{2} \}$ を活用した。

上記の2次方程式が2つの実数解を持つ場合の求解手順を前回示したので,ここでは2つの複素数解$\ t_1=-\frac{q}{2} + \sqrt{q^2/4 + p^3/27}, \ t_2=-\frac{q}{2} - \sqrt{q^2/4 + p^3/27} \ $の場合(根号の中身が負の場合)を考えてみる。

(2) $\ t_1,\ t_2\ $が複素数の場合:

この場合,$\alpha=t_1^{1/3}, \ \beta=t_2^{1/3}\ $は複素数となる。前回と同様に,$ \alpha^3 \beta^3 = t_1 t_2 =  -\frac{p^3}{27}$であるが,$\alpha, \beta$が複素数であることから,$\alpha \beta = -\frac{p}{3},\ \alpha \beta \omega = -\frac{p}{3},\ \alpha \beta \omega^2 = -\frac{p}{3}\ $のいずれかが成立する。

6次方程式の解が,$y_1 = \{ \alpha,\ \alpha \omega,\ \alpha \omega^2 \},\quad  y_2 = \{ \beta,\ \beta \omega,\ \beta \omega^2 \} \ $であり,三次方程式の解が$\ x=y -\frac{p}{3 y}\ $によって得られることは前回と同じだ。そこで,複素数(実数を含む)である$\ \beta$を含む解が,複素数(実数を含む)である$\ \alpha$を含む解に帰着することが示せればよいことになる。

$\alpha \beta$の積に対する3つの条件のうち,最初のものは実数の場合と同じなので,前回の議論をそのままつかうことができる。残りの2つの条件を当てはめると次のようになる。

$\{ \beta,\ \beta \omega,\ \beta \omega^2 \} /.  \beta \rightarrow -\frac{p}{3 \alpha \omega}  =  \{\ \alpha \omega  - \frac{p}{3 \alpha \omega},\ \alpha -\frac{p}{3 \alpha},\ \alpha \omega^2 - \frac{p}{3 \alpha \omega^2}\}$,

また,$\{ \beta,\ \beta \omega,\ \beta \omega^2 \}/. \beta \rightarrow -\frac{p}{3 \alpha \omega^2}  = \{ \alpha \omega^2 - \frac{p}{3 \alpha \omega^2},\ \alpha \omega - \frac{p}{3 \alpha \omega} ,\ \alpha -\frac{p}{3 \alpha }\}$

なお,条件の代入にはMathematicaのルール [元の表式/. 変数→変換式]を用いた。こうして,一組の6次方程式の解$ \ y_1=\{ \alpha,\ \alpha \omega,\ \alpha \omega^2 \} $ から3次方程式の一組の解 $\ x= y_1- \frac{p}{3 y_1}\ $が得られる。

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