2021年10月22日金曜日

原子の四重極能率

 原子核は,構成粒子間の力が面倒なテンソル力だったりする関係で,球形以外の回転楕円体などの形(フットボール型,パンケーキ型)が普通に見られるのだけれど,現代物理学の授業で「原子はみんな球形なのですか?」という質問があった。

原子は,原子核を中心としたクーロン力が支配的なので,どうなのか考えたこともなかった。もちろんE2遷移はあるけれど,基底状態で静的な四重極能率を持つ原子があるのだろうか。さっそく検索してみるのだけれど,なかなかこれといった情報にたどりつかない。分子はいいんですよ,ほとんど自明だから。

そもそも原子の基底状態で,全角運動量が 1 以上のものがあるのだろうか。たかだか100個しかないのだからどこかに簡単なテーブルが見つかるはずだ。あ,電子が奇数個であってその価電子が 0 でない(できれば2以上の)軌道角運動量を持てばばいいわけか。となると3d軌道や4d軌道に奇数個の電子があれば(Sc, V, Mn, Co, Y, Tc)J=3/2か5/2が作れそうなので,原子の電気四重極能率が 0 でない可能性がある。

周期表をあれこれみても電子配置はかいてあるものの,肝腎の全角運動量の情報がないのだ。どうなっているの?四重極能率の計算に全角運動量は関係ないのか?そんなこんなで少しだけかすっているような情報があったけれど,これは原子単体の話ではないかも。


図:電気四重極子の等ポテンシャル面(Wikipediaより引用)

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