2021年8月7日土曜日

あるいは牡蠣でいっぱいの海

 筒井康隆の「あるいは酒でいっぱいの海」が河出文庫から8/6に再刊されたというシグナルを検知した。もともとは,1979年に集英社文庫から出ていたものだが読んではいない。当時から,そのタイトルは,エイヴラム・デイヴィッドソン(1923-1993)の「あるいは牡蠣でいっぱいの海」をもじっているのだと思っていた。著者は誰だかもよくわかっていなかったが,そのタイトルだけは,そんなわけで長く印象づいていた。

この機会に,読んでいなかった「あるいは牡蠣でいっぱいの海」がないかとネット上で検索したところ,ハヤカワSFシリーズ3079のアイザック・アシモフ編ヒューゴー賞傑作集No. 1に収録されていることがわかった。あれ,それ持ってませんでした?というわけで書棚を探すと確かにあった。なんのことはない,実は既読だったようだ。さっそく再読したところ,やはりほとんど記憶になかった。

その洒落たストーリーは,簡単といえばそうなのだけど,ある意味解釈に困るようなもので,これではちょっと記憶に残らない。エイヴラム・デイヴィッドソンの日本オリジナル短編集どんがらがんが,2005年に河出書房から出版されていて,これも河出文庫に収録されている。若島正さん(昔,おなじ官舎に住んでいた大教大附属高校の英語の先生の旦那さんだ)が新訳しているが,残念なことにタイトルも変えられしまった。

その,エイヴラム・デイヴィッドソンはもともとユダヤ教だったのが,1970年代に天理教に改宗している。えっ,天理教ですか。Tenrikyo: Tenrikyo, Avram Davidson, Fumio Kyuma, Sanae Takaichi, Kiyokuni Katsuo, Bunmei Ibuki, Hakuo Yanagisawa, Nakayama Miki(LLC Books)を読めばそのあたりのことがもう少しわかるのだろうか?

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