2021年8月29日日曜日

人新世

たまに本屋にいくたびに, 斎藤幸平人新世の「資本論」(集英社新書)を買おうかどうしようかと迷っているうちに30万部を超えていた。とりあえず,youtubeの対談で予習しているけれど。

その「人新世(Anthropocene)」は「じんしんせい」と読んでいたけれど,斎藤は「ひとしんせい」と発音していた。地質年代に関する概念であり,大気科学者のパウル・クルッツェンらが 2000年にAnthropocene(ギリシャ語に由来し「人間の新たな時代」の意)として提唱したものだ。

地質時代の区分は,動物化石を基に分類されていて,生物の大量絶滅が古生代,中生代,新生代を分けている。新生代は古第三紀(6600万年前〜),新第三紀(2303万年前〜),第四紀(258万年前〜)から成り,人類登場以降の第四紀は更新世(258万年前〜)と完新世(1万1千7百年前〜)に分かれる。

人新世は,人間の経済活動が地球の環境に不可逆な影響を与えうること,人間の活動が地球という惑星の上にすむ他の種や人間自身の生存に,またひいては惑星そのものの存続に影響を与えるということで定義されたものだ。その始まりについては,産業革命の18世紀後半,放射性降下物の1945年,化石燃料が急増した1950年などのいくつかの立場がある。

人間が生み出したもので地球環境全体に深刻な影響しているものは,(1) 人工放射性物質,(2) 環境化学物質(気体),(3) 環境化学物質(薬品,合成樹脂)などがある。いまは,CO2に焦点があたっているが,二酸化炭素にせよメタンにせよ本来地球上に存在していたものである。しかし,半減期が非常に長い人工放射性物質や分解されない合成樹脂(マイクロプラスティック)は,人類以前には存在していなかったものなのでそちらの方が心配なのだった。

図:地質系統・年代の日本語記述(日本地質学会より)


0 件のコメント:

コメントを投稿