2021年8月19日木曜日

arxiv30周年

 物理学分野のプレプリントアーカイブとして,1991年,マンハッタン計画で有名なロスアラモス国立研究所に,LANL-perprint サーバが立ち上がった。これを引き継いで1999年から現在に至るまでコーネル大学が運営しているarxivプレプリントアーカイブの前身だ。

スタート当時は,素粒子(高エネルギー)・原子核物理が中心だったが,いまでは,Physics,  Mathematics,Computer Science,Quantitative Biology,Quantitative Finance,Statistics,Electrical Engineering and Systems Science,Economics の広い分野にわたっている。

LANL-preprintサーバがスタートしたのは,インターネットが使えるようになってまもない頃でもあり,京都大学の基礎物理学研究所にミラーサーバが置かれて,トラフィック軽減のためにそちらを利用するよう誘導されていた時代だ。その後,京都大学ではリソースを割くことが困難になって2015年に廃止された。しかし,中国・ドイツ・インド・スペインにはいまでもミラーサーバーが運用されている。

arxivに残っている最も初期の論文を探してみたが,1991年8月14日の Exact Black String Solutions in Three Dimensions,James H. Horne, Gary T. Horowitz あたりだろうか。結局,これが普及するころには物理から物理教育にシフトしていたので,投稿者として利用することはなかった。今でも,物理のまとまったレビューや入門テキストを得るためによくアクセスしている。

プレプリントサーバ/リポジトリのarxivはオープンサイエンスの典型的な成功例であり,bioRxivmedRxivChemRxiv や PsyArXiv など,他分野へも波及している。

図:arxiv 30周年のロゴマーク

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