2021年4月13日火曜日

蔦屋書店

 京阪枚方市駅前の商業施設,HIRAKATA T-SITEには蔦屋書店が入っている。最近は本屋がどんどん消滅しているが,その中で蔦屋書店だけが生息域を拡大している。春日原始林に蔓延るナンキンハゼみたいなもので,シカが食べないことから森林生態系の変化が危惧されている。まあそもそも春日原始林はアマゾン熱帯雨林で置き換えられてしまったのかもしれないが。

1983年に開業した蔦屋書店の1号店が蔦屋書店枚方市駅前なので,ここは大変由緒正しいTSUTAYAの聖地なのだった。レンタルCD・ビデオのTSUTAYAと併せて,1985年に設立されたカルチャ・コンビニエンス・クラブ(CCC)によって運営されている。このCCCの名前が知れ渡ったのが,図書館の委託管理事業への進出である。当時の樋渡啓祐市長によりCCCが初めて指定管理者となった武雄市図書館では,CCCの関連会社からゴミのような中古書籍を多数購入したり,貴重な地域の歴史資料資料を除籍・廃棄処分したり,改革の名の下に図書館機能をズタズタにしてしまった。

そんなわけで,CCCには悪い印象しか持っておらず,地元の図書館が浸食されないように祈るばかりであるが,蔦屋書店も自分の肌には合わないのだった。

(1) 選書がお洒落な本に偏っており,書店の規模に対して,理工書やしっかりした人文科学書の割合が少ない。本屋ではなくファッション系の小物のお店になってしまっている。あるいはファッションの一部としての見せかけの書籍群。その極限が大きな壁面に糊付けされている洋書の見掛け倒しである。本物の図書館では,一応アクセスは確保されている。大嫌いな安藤忠雄設計のこども本の森中之島も同じ発想だ。

(2) 書籍の配列がでたらめになっている。よくいえばテーマ別で新しい発見を促すともいえるが,あるべき場所に本がないので特定の意図を持って探すのが面倒である。端末で検索せよというならば,アマゾンとどこが違うのか。文庫本が著者のアイウエオ順なのはまだ許せるとして,場合によっては単行本と文庫本が混在し,恣意的な分類をしている。

そんなわけで,仮想空間で自分好みの本屋体験ができるアプリの出現を待っている。

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