2020年11月16日月曜日

科学技術・学術審議会

戦後,日本学術会議がスタートしてから政府自民党によってその実態が骨抜きにされる過程が続いてきた。そのための別機構とは,内閣府の総合科学技術・イノベーション会議だと思っていたけれど,実はそれだけではなかった。もうひとつが文部科学省の科学技術・学術審議会である。こちらのほうは,「中央省庁等改革の一環として,科学技術・学術関係の6審議会(海洋開発審議会,航空・電子等技術審議会,資源調査会,技術士審議会,学術審議会,測地学審議会)の機能を整理・統合し,平成13年1月6日付け(2001年)で文部科学省に設置されたもの」ということだ。

「イエスマンの集まりになったら国は滅びる」(毎日新聞)の中島秀人・東工大教授によれば,

当初の学術会議は、学術政策や予算の分配に強い影響力を持っていました。当時は権威がある組織だったので、代わりの団体を作る方策が取られました。59年に科学技術会議(現総合科学技術・イノベーション会議)、67年に学術審議会(現科学技術・学術審議会)が作られたのです。政策決定は科学技術会議が、予算配分は学術審議会が担うようになり、学術会議は権限を奪われていきました。学術会議には、提言、報告、政府の諮問に対する答申などの機能もありますが、これらを含め70年代から、社会的な発信力や影響力がほとんどなくなってきたと思います。

ということなので,問題の根は深い。そもそも,政府から独立して国を代表する科学アカデミーと政策推進のために抽出された科学者集団としての審議会等の性格は大きく異る。しかも実効的な力のなかった組織(科学アカデミー)を生贄として血祭りにあげ, 権力(人事)掌握のための機会として利用しようということなのだ。新型コロナウィルス感染症対応でもわかるように,客観的,合理的な事実から離れた(場合によっては法制度を無視した)政策遂行による日本の劣化がとどまるところをしらない。

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