2020年4月27日月曜日

有界な単調数列は収束する


大人の学び直し

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○実数を項とする無限数列 $\{a_n\}$ を考える。すなわち,$n \in \mathbb{N}$,$a_n \in \mathbb{R}$ である。数列 $\{a_n\}$ の全ての項を要素とする集合を $A$ とする。すなわち,$A=\{a_1, a_2, a_3, \dots \}$ である。

○集合 $X$ が 上に(下に)有界 であるとは,$\forall x \in X \rightarrow x \le (\ge) M$ となる実数 $M$ が存在することである。この $M$ を $X$ の上界(下界) とよぶ。$X$ が上にも下にも有界であれば,$X$ は 有界 であるという。

○上界(下界)$M$ が $M\in X$ であるとき,これを $X$ の 最大値(最小値) という。

○上界(下界)の集合が空集合 $\emptyset$ でないとき,上界(下界)の最小値を $X$ の上限(下限) という。空集合ならば,上限(下限)を $\infty \ (-\infty)\ $ と表すことがある。

○なお,数列 $\{a_n\}$ については,その全ての項からなる集合 $A$ についての表現を流用して,数列に対して,有界,上界(下界),最大値(最小値),上限(下限)などの用語をあてはめることにする。

○数列 $\{a_n\}$ が有界ならば,$\forall n \in \mathbb{N} \rightarrow |a_n| \le M$ と表すことができる。

○数列 $\{a_n\}$ が 単調増加(減少) であるとは,すべての$n \in \mathbb{N}$に対して,$a_n \le a_{n+1}\ ( a_n \ge a_{n+1} )\ $ が成立することである。等号を含めない場合は, 狭義単調増加(減少) であるという。単調増加と単調減少の性質を持つ数列をまとめて 単調数列 という。

数列が収束する ことは次のように表現する。各項が実数である無限数列 $\{a_n\}$ がある。この数列が実数 $\alpha$ に収束するとは,つぎの関係が成り立つことをいう。『任意の $\varepsilon > 0$ に対して,ある自然数 $N(\varepsilon)$ が存在して,$n \ge N(\varepsilon)$ をみたす 任意の自然数 $n$ について $| a_n - \alpha | < \varepsilon $をみたす』

$\forall \varepsilon > 0,\ \exists N(\varepsilon) \in \mathbb {N} \ \mathrm{s.t.}\ \forall n \in \mathbb {N} \quad [\ n \ge N(\varepsilon) \Rightarrow | a_{n} - \alpha | < \varepsilon \ ]$

○「 有界な単調数列は収束する 」を証明するための前提としては,実数に関する次の公理が必要となる。すなわち,「上に(下に)有界な実数の部分集合には最小上界(最大下界)が存在する。

○証明は次のように進む。上に(下に)有界な数列 $\{a_n\}$ があるとすると,その最小上界(最大下界)を $\alpha$ とすると,すべての $n$ に対して,$a_n \le \alpha \ (a_n \ge \alpha)\ $ が成り立つ。

最小上界より小さな数(最大下界より大きな数) $\alpha \mp \varepsilon \ ( \varepsilon > 0 )\ $を考えると,この数と $\alpha$ との間には数列 $\{a_n\}$ の部分が存在する(存在しなければ, $\alpha$ が最小上界や最大下界ではないことになるから)。つまり,$\varepsilon$ を与えると定まる自然数 $N$ が存在し,それは,$a_N > \alpha -\varepsilon \ ( a_N < \alpha + \varepsilon )\ $を満足する。

○$\{a_n\}$ は単調増加(単調減少)数列なので,$n \ge N$ となる $n$ に対して,$a_n \ge a_N > \alpha -\varepsilon \ (a_n \le a_N < \alpha + \varepsilon)\ $である。一方,$a_n \le \alpha \ ( a_n \ge \alpha )\ $ より,$a_n < \alpha + \varepsilon \ (a_n > \alpha - \varepsilon )\ $ である。

○これらより,$n \ge N$ となるすべての $n$ に対して,$ |a_n - \alpha | < \varepsilon $ が成り立つ。したがって,数列 $\{a_n\}$ は $\alpha$ に収束する。これを次式のように表して,$\alpha$ を収束する数列の 極限値 という。
$\lim_{n \to \infty} a_n = \alpha$


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