2019年11月21日木曜日

パラメータ励振(1)

物理Ⅲの授業は来週中間テストでいよいよ後半戦に向う。テーマは振動と波動で,小形正男さんの裳華房の振動・波動をテキストにしている。第5章の減衰振動と強制振動のところだ。小学校5年生の振り子の単元でもブランコを説明に遣うが,ここでも強制振動の説明にブランコをイメージしてもらう。ところが他人に押してもらわない自分で漕ぐブランコは,パラメータ励振で説明しなければならない。

ブランコのモデルとしてひもの長さが与えられた時間の関数として変化する単振り子を考える。運動を記述する変数として,鉛直方向からの振り子のなす角度を $\phi(t)$ とする。支点のまわりの角運動量は,$L=m\ell ^2 \dot{\phi}$ であり,支点のまわりの重力のモーメントは $N=-mg\sin \phi$  から,運動方程式$\dfrac{d}{dt}L=N$ は,$m \dfrac{d}{dt}(\ell^2 \phi) = -m g \sin \phi$ となり,微小振動を仮定して整理すると,$\ddot{\phi} + 2\dfrac{\dot{\ell}}{\ell}\dot{\phi} + \dfrac{g}{m} \phi = 0$ を得る。

例えば,$\ell(t) = \ell_0 - a \cos \omega t$ に対して,この方程式が簡単に解ければ,初等的な力学の教科書に例題としてどんどん載せればいいようなものだけれど,そうは問屋が卸さないのだった。ちなみにこの場合の近似運動方程式は,$\epsilon = a / \ell_0$,$\omega_0
= \sqrt{g/\ell}$として,次のようになる。
\begin{equation*}
\ddot{\phi} + \epsilon \sin \omega t \ \dot{\phi}  + \omega_0^2 (1+\epsilon \cos\omega t) \phi = 0
\end{equation*}


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