2019年9月17日火曜日

微分形式の夏

わけあって,しばらく微分形式の勉強をしている。

今から43年前の夏。M1だったころ,その年の原子核三者若手夏の学校が,野沢温泉村で開かれた。先輩につれられて夏の学校が何かもわからないまま,草津白根山を観光した後,暗くなってから現地に到着した。各大学の院生たちはばらばらに民宿に割り当てられているので,先輩たちとも離れてポツンと取り残された。原子核実験の先輩の前田和茂さん(東北大学)と同宿で,前田さんは友達の沖花彰さん(京都大学)と良く話していた。その関係で,沖花さんに夜の外湯めぐりにつれていってもらった。後に京都教育大学に勤めるようになった沖花さんはそのことは全く覚えていないとのことだった。

その野沢温泉村のある日の午後,研究会がおわって宿の2階でごろごろしていたら,森田研の同級生の小林正博君が鹿児島大学の素粒子をやっているM1のヒゲのお兄さんと何やら話している。ヒゲのお兄さんは,フランダースの微分形式の理論を読んでいて,これはすごいというようなことをさかんにアピールしていた。当時からあまり勉強していなかった自分は,別にベクトル解析で十分だろうと聞き流していた。しかし,中島慧さんの共変解析力学の定式化の話を目にするにつれ,これはちょっと重要かもしれないと思い,死ぬまでには少しだけ理解したいと考えている。

この夏の学校には,東大有馬研の助手だった久保寺国晴さんが原子核パートの講師として招かれていた。自分たちの研究と関係があったCVCの話や,SCCの現状などを興味深く聞いた。ある日の午後は,講義のない休養日だった。野沢温泉村のプールには原子核素粒子高エネルギーの院生たちが涼を求めて集まっていた。飛び込みプールには10mの飛び込み台もあった。地元の高飛び込みの選手の指導の下,度胸試しで院生の何人かが低いほうから順にチャレンジしていたが,久保寺さんはみごとに10mの高さから足をそろえてきれいに鉛直方向に入水した。

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